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アメリカ版 大学生物学の教科書 第3巻 分子生物学

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カラー図解 アメリカ版 大学生物学の教科書 第3巻 分子生物学 (ブルーバックス)/講談社
¥1,575
Amazon.co.jp
この本はアメリカの多くの大学で使われている教科書だそうです。 
この分子生物学においては、
癌とはなにか
生体防御メカニズム
進化の仕組み
について学びます。

<癌とは>
癌は正常細胞と以下の2点で大きく異なる
1.がん細胞は細胞分裂の制御を失っている。
 正常細胞は外部からの特定の刺激などに応じて分裂を繰り返す
 これに対してがん細胞はそうした刺激に反応しなくなり、持続的な分裂を繰り返す

2.がん細胞は別の組織に拡散する
 いわゆる「転移」である。
がん細胞は分解酵素を分泌して、周囲の細胞などを分断し、ついには血管へ到達する。
一部のがん細胞は血流やリンパ流に侵入するが、この脈管系の「旅」は実は
がん細胞にとっては命がけとされ、生き延びるのは難しく、がん細胞1万個に1個程度である。
運良くがん細胞にとって住みやすい新たながん細胞にたどり着くと、
新たな細胞表面の接着タンパク質を発現して、そこに定着し、新たな住処に浸潤を開始する。

一部の癌はウイルス由来であるが、85%の癌の原因は遺伝子変異である。
いわゆる発がん物質によってDNAが変異して発癌する。
あまり知られていないが、我々が普段口にする食物にも
何千という天然発がん物質が含まれている。

<ヒトゲノムの特徴>
タンパク質をコードしているのは32億塩基対の2%以下、全遺伝子数は2万4千にすぎないと推測されている。

遺伝子1個は平均2万7千塩基対である。

人の遺伝子の殆どにはイントロン(アミノ酸を生成しない)が存在しない。
ゲノム全体の2%しかアミノ酸をコードしていない

99.9%のゲノム配列はすべてのヒトで共通である。


<固定民族>
少数の創始者に由来する以下のようなさまざまな集団について遺伝子解析が行われている。
通常住民はこの研究に非常に協力的である。

・12世代前の4000人ほどの創始者に由来するコスタリカ人250万人
・30世代前の1500人ほどの創始者に由来する東ヨーロッパ出身のアシュケナージユダヤ人1000万人
400世代前の500人ほどの創始者に由来するサルディニア人160万人

<眼を作る遺伝子>
ショウジョウバエには時々眼が存在しないeyeless遺伝子をもつものが存在する。
ハエは複眼である。
単眼であるマウスの眼を制御するPax6遺伝子があるのだが、
ショウジョウバエのeyeless遺伝子がある箇所にPax6遺伝子を組み込んだところ、
小さな目があるハエが生まれた。
つまり、目の遺伝子が生物間で互換性がありうることがわかった。
さらに、そのハエの目はマウスの遺伝子由来にも関わらず「複眼」であった。


<生体防御システム>
細胞性防御
皮膚: 病原体や異物の体内への侵入を防ぐ
酸性分泌物: 皮膚での最近の増殖を防ぐ
粘液: 病原体の侵入を防ぐ。病原体を傷害する抗菌ペプチドを含む
粘液排出: 最近や病原体を補足して消化管や気道から排泄する
鼻毛: 鼻腔で細菌を濾過する
絨毛: 気道から粘液と補足された病原体や異物を排泄する
胃液: 高濃度の塩酸やタンパク質分解酵素によって病原体を破壊する
酸性膣: 女性生殖器でカビや細菌の増殖を抑制する
涙、唾液: 潤滑と清浄を行う。細菌を破壊する酵素(リゾチーム)を含む

非特異的細胞性
正常微生物叢: 病原体と生存競争して抑制する。抗病原体毒素を産生する。
発熱: 全身性の防御反応で、身体の抵抗性を高めて、微生物の増殖を抑えようとする。
咳、くしゃみ: 上気道から病原体を排出する
炎症応答: 隣接臓器への病原体の拡散を抑える。病魚反応を高める。
        病原体や破壊された組織を消化して除去する。
        貪食細胞やリンパ球を炎症部位に動員する化学物質を分泌する
貪食細胞: 体内に侵入した病原体を貪食して破壊する
ナチュラルキラー細胞: ウイルス感染細胞やがん細胞を攻撃して破壊する

抗菌タンパク質
インターフェロン: ウイルスに感染した細胞より分泌され、未感染細胞の感染を防ぐ
            特異的防御応答を誘引する
補体: 微生物を破壊する。貪食を促進する。免疫応答や炎症応答を促進する

<外部からのけがに対応する炎症応答>

傷の周りに肥満細胞が集まり、ヒスタミンを放出する
ヒスタミンは毛細血管を拡張し、血管内の
血漿や貪食細胞が血管外へ出て行き、傷の細菌などを除去し、損傷の回復をもたらす


<アレルギーとは>
免疫システムがある抗原に対して「過剰反応」すること
抗原自体が宿主に対して危険を及ぼさないとしても、
不適切な免疫応答によって炎症反応などの症状をもたらし、
時として重篤あるいは致死に至る

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