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Channel: 読書は心の栄養
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ハンセン病と無知の滞在をめぐる旅

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池袋から30分程度西に移動した東村山市には、国立ハンセン病資料館と療養所としての
多磨全生園があり、桜の季節にはぜひここを訪れてみたい。
130万人以上が観桜に訪れる名所となっている。

ーー中略ーー
しかし、ほんの数十年前までは、人々の中に存在した差別意識のために、
多磨全生園の中に市民が気軽に足を運ぶということは少なかった。

資料館は、古代から続くハンセン病への差別の歴史が構造的に学べるようになっている。
俯瞰すれば、差別というのは、為政者がある日突然法律を作ったから発生するのではなく、
我々の差別意識が先にあり、それが社会制度の中で顕在化していく過程で固められていく

ということがよくわかる展示といえる。

また、治る病気であったハンセン病に対して我々が無知であったために、
社会差別が長年続いてしまっていることに自責の念を感じるかもしれない。


ーー中略ーー
3.11以降、福島の子どもたちが菊池恵楓園に遊学したことがある。
非科学的な差別を受けた子どもたちの心は、
同じように謂れ無き差別を受けた元患者の辛さと重なるところがある。
そして、水俣病が生み出した社会差別は、ハンセン病における社会的疎外と類似構造を持つことがしばしば指摘される。

ハンセン病については、誤った隔離政策を取っていたので、
地方の療養所は島や人里離れたところにあることが多い。
風光明媚であるゆえに、それだけますます社会の罪深さを感じさせる。

チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド より


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