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読売新聞での部落差別をテーマにした記事

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大阪読売新聞の社会部長だった黒田清は連載コラム「窓」を始めた。

大阪府高槻市の28歳の女性からの手紙を紹介し、黒田は部落差別というマスコミでタブー視されている問題を取り上げ始める。

「乱れた心で書きつづります。
私は小さいころ、一度引っ越しをしております。
両親はそこをいつも”村”と言い、小さい頃からそう聞かされて、慣れていた故か、
それは単に都会と田舎という区別の”村”だと思っていました。
両親は堂々と、子どもたちに向かって「私ら村のもんは」と言い続けていたので、
私は自分が部落の子だとは思えなかったのです」

そんな書き出しの手紙を送ってきた女性は、大学時代に結婚したいと思っていた男性から
自分が部落出身であることを初めて教えられた。
男性は女性のもとを去り、彼女は自殺しようとしたが、未遂に終わった。
そして学生時代の傷が癒えかけた頃、縁談が持ち込まれたが、出身地を告げると断りの返事が来た。

「現在、私の心が乱れているのは、見合いの断りがショックだったのではありません。
結婚にも、相手にも夢はないけれど、子供がほしいのです。
ただ、その子が大きくなった時にも”村の子”の影を引きずるのかと思うと、
つらくて、あわれです。
結婚もしていないのにこんなことを書いています。
そのことを考え出したら本当に泣けてきました。
こんなこと、私が村の子だと知らない友人にも言えるわけもないので、
窓の皆さんに甘えさせていただきました。
読んでくださってありがとう。
「私は村の子です」と言える日と、私が結婚できる日が早く来てほしいと切に願います。」

魚住昭 「渡辺恒雄 メディアと権力」 より


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