【楽天ブックスならいつでも送料無料】武人の本懐 [ 高嶋博視 ] |
致知で著者の記事があって興味が出たので借りてきました。
これは、東日本大震災の当時の、海上自衛隊の活動を、横須賀地方総監だった著者が記した本です。
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初期段階においては、支援される側(被災者)に若干の戸惑いがあったと思う。
米海軍から大量の物資が運ばれてくるが、段ボール箱や包みには横文字が並んでおり、食料なのか生活要因なのか見分けがつかないなど。
しかしこれら些細な問題は、共同部隊が毎日調整を行って急速に改善した。
包みには日本語の説明が添付され、物資を届けるときには日本語が分かる者を同行させる。
あるいは米側の物資をいったん「ひゅうが」または陸上の集積所におろし、
日側が仕分けをして端末輸送を行うなどさまざまな工夫・改善がなされた。
私は両国の指揮官、幕僚がVTC(テレビ会議)で毎日議論している様子を船越でモニターし、作戦(活動)が順調に推移していることを確信した。
長年にわたって日米共同の深化に尽力してこられた海上自衛隊の諸先輩、先人に心から感謝を申し上げたい。
それにしても、米海軍の機動力にはいつも感心させられる。
近年に生起したスマトラ沖やハイチの大地震でも、そして今回の東日本大震災においても、
米海軍は極めて短時間で被災地に駆けつけ、迅速に救援活動を開始している。
米海軍は規模のみならず、その情報能力や機動力においても世界第一級の海軍であることを顕示している。
ちなみに、関東大震災においても米海軍は最大限の救援を行っている。
まずはアジア艦隊(当時)の駆逐艦7隻が、天津の米陸軍倉庫から救援物資を横浜に届けている。
その後、横浜から清水へ避難民を輸送する、あるいは横浜沖において野戦病院を開設する等の救援活動を行っている。
いわば「旧トモダチ作戦」である。
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時折、支援物資が末端の被災者まで届いていないとの報道があった。
その都度現場に確認すると、実態とはかなり異なる場合が多かった。
全国から横須賀に集まった救援物資を輸送艦と補給艦でピストン輸送を行い、
そこには何の不具合も見られなかった。
問題は、陸上の物資集積所にあった。
ヘリコプターで受領に行くと、物資を受け取ることが出来ないことがあった。
集積所では、全国あるいは世界中から集中する大量の救援物資の仕分け、管理、配分に時間を要しているようであった。