日本の経済力が強く過ぎたら困る。
これも(経済)戦争の一環として、持ちだしたのが有名な国際決済銀行(BIS)の自己資本8%規制だ。
国際的業務を行う銀行は自己資本が8%以上なければいけないという国際ルールをつくったわけだが、明らかに日本がターゲットにされていた。
1980年代当時、日本の銀行は薄利多売をやっていた。
日本の銀行は預金が沢山あるので、企業の大きな国際的なプロジェクトがあると、
きわめて低い金利で貸し付けてしまう。
豊富な預金があるものだから、低金利でもいいと言って、貸付先が信用できるとなれば、どんどん貸し込んでいった。
日本の銀行は、製造業の発想と同じで、まずマーケットシェアを取る。
マーケットシェアを取って信用を得れば、利幅が薄くても、長期的に儲かればいいと考える。
家電も自動車も皆この発想で、はじめはダンピング輸出をやっても、無理をしてでもマーケットシェアを取る。
そして、信用を勝ち取り、そこから商売は広がっていくという考え方が、日本人の根底にある。
日本は80年代はじめぐらいから、同じことを金融でもやったが、それが問題であるということで欧米で反発を買った。
とくに1987年のブラックマンデー後のヨーロッパとアメリカがぺしゃんこになっている間に、
日本経済だけが快進撃を続けた。
そこで、日本の金融がこの勢いで広がったら困るというので、欧米のエリートはなんとかそれを阻止しようと考えたのだ。
日本の銀行の欠点は何かと追求していくと、自己資本は小さいが預金(借入金)も貸付金も膨大であることがわかった。
そして、これを止めるには自己資本規制が一番いい、という結論になったのである。
「NHK捏造事件と無制限戦争の時代」藤井厳喜 より
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経済戦争に気がつかなかった日本
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