この小説は、ダイエーの小説、中内功をモデルにしているとされている。
ダイエーの前身が薬局にあるというのを初めて知りました。
いわゆるドラッグストアチェーンの走りと言っていいのだと思います。
当時は薬を安売りするというのは慣習として全くなく、製薬会社から大きな嫌がらせを受けたそうです。
箱などにどの卸を通ったかがわかる暗号のようなものがあって、中内さん(作中では矢口)の店に卸した中間業者に圧力をかけていたそうです。
中内さんは、卸してくれる店を探しに北海道から九州まで出向いていったそうです。
その後、販売品種を拡大し、電化製品にまで広げると、メーカーからの嫌がらせはどんどん大きくなっていったそうです。
現在ではダイエーはイオンに吸収されています。
時代を感じますね
================
尾藤映子が集めた資料によると、たとえば「エネルギン」を出している薬王製薬の肝臓薬「プロテクト」百錠入り小売七百円のものの卸価格は322円である。
それでさえ、かなりの利幅なのに、そのうえ、35%の現品添付があり、
さらに8%の特別報償がつく。
その結果、正味の卸価格は277円にしかならなくなる。
700円一瓶売って、423円の儲けというわけである。
これなど極端な例だが、グランド製薬あたりでも、「ベスト・シニア」を売り出すときには、
半年間で60万円以上の売上のあった薬局全部を五泊六日のハワイ旅行に招待し、
不参加者には20万円の割戻しをしていた。
![]() 【楽天ブックスならいつでも送料無料】価格破壊 [ 城山三郎 ] |