1974年から1977年までの間に文藝春秋に投稿された匿名の論文記事
実際の著者であった、香山健一、佐藤誠三郎、公文俊平らはこれをきっかけに中曽根首相のブレーンとなった。
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ローマ帝国の没落
マンフォードによると皇帝クラウディウスのときすでに公共の費用で催された競技や見世物は93日になり、公の休日は159日に及んでいたという。
そしてそれらはときとともに増え続け、紀元354年頃には、競技日は175日、公の休日は200日ないし一年の半ば以上にも達したというのである。
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ローマが巨大な世界国家を築き上げたように、日本もその成長と繁栄の絶頂において、
巨大な世界国家を築き上げた。
この両者に大きな相違があるとすれば、第一に、日本は軍事力によらずまた軍事力を持たない歴史上極めて特殊な非軍事経済大国として巨大な経済的勢力圏を持つ世界国家を作り上げたという点であり、
第二に、この世界国家”日本”はグローバルにみると日本列島を心臓部として全世界各地と「点と線」で経済的に結びついた、放射線状の世界国家であったという点であろう。
そしてこの”日本”の繁栄もローマの場合と同じように、
やがては日本の国民大衆を遊民化し、その家族や伝統的共同体を解体して大衆社会化状況を作り出し、エゴ、悪平等主義、活力などを福祉、怠慢そして画一的な全体主義の中に社会を解体させていくことになるかもしれないのである。
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なぜ世界に誇る国鉄新幹線が急に乱調をきたし始めたのか。
それは決して「十年目の疲れ」というような技術的理由のみによるものではなかったようである。
決定的な理由は、技術を使いこなし、維持保安する国鉄組織の荒業であった。
国労、勤労などの暴走組合による不法な「順法闘争」やストによって職場秩序が乱れに乱れ、
勤労のモラルと責任感が低下し、国民に奉仕する感覚が麻痺させられていたことこそが、乱調の最大の原因であったと判断される。
ちなみに、昭和47年4月から48年3月までの一年間のうち実に81日間、つまり5日に1日以上も、スト、「順法」闘争で国鉄は機能麻痺状態に陥っていた。
48年の春闘時についても、2月1日から4月27日までの間にスト、「順法」は25日(3日に1日)もうち続き、
これに怒った乗客が上尾事件(3月13日)、首都圏国電騒動事件(4月24日、25日)を引き起こすまでに至っていた。
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昭和47年の5月から6月にかけて前後6回に渡り、東京都練馬区石神井南中学校で発生したと伝えられた光化学スモッグによる集団的被害に関し、
臨床医学的立場から調査を進めていた東京都衛生局「東京スモッグ対策研究プロジェクトチーム」は、生徒たちの全身症状は主として恐怖感と集団心理が作用した心因性によるものであって、
光化学スモッグによるという断定はできないという報告を発表した。
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ある新聞記者のルポルタージュは、次のような驚くべき事実を伝えている。
「・・・昨年春、社会党のある県議は漁民の集会でぶっていた。
『放射能は恐ろしいよ。”むつ”が湾内を汚すだろ、それがたまりにたまってな、
一定の限界にまで達すると、ドカーン、核爆発を起こすんだ』。
県議は後になって新聞記者である私がそこにいることに気づき、
『この程度に話を大きくして聞かせんと、原子力について無知な漁民は意のあるところを理解してくれんのでな』
と照れ笑いを浮かべながら私に耳打ちした。
そういうオルグの効果だとは思いたくないが、一般の漁民は昨年後半から”むつ”を厄介なものとして見るようになってきたことは事実だった」。
放射能が湾内に蓄積し、それが一定の限界を超えるとドカーンと核爆発を起こすとは
なんという途方も無いデマであろう。
しかし、現実にはこうしたデマという「情報汚染の放射能」が世論の中に累積され、
哀れなわが原子力船「むつ」を政治的に「轟沈」してしまったのである。
実際の著者であった、香山健一、佐藤誠三郎、公文俊平らはこれをきっかけに中曽根首相のブレーンとなった。
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ローマ帝国の没落
マンフォードによると皇帝クラウディウスのときすでに公共の費用で催された競技や見世物は93日になり、公の休日は159日に及んでいたという。
そしてそれらはときとともに増え続け、紀元354年頃には、競技日は175日、公の休日は200日ないし一年の半ば以上にも達したというのである。
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ローマが巨大な世界国家を築き上げたように、日本もその成長と繁栄の絶頂において、
巨大な世界国家を築き上げた。
この両者に大きな相違があるとすれば、第一に、日本は軍事力によらずまた軍事力を持たない歴史上極めて特殊な非軍事経済大国として巨大な経済的勢力圏を持つ世界国家を作り上げたという点であり、
第二に、この世界国家”日本”はグローバルにみると日本列島を心臓部として全世界各地と「点と線」で経済的に結びついた、放射線状の世界国家であったという点であろう。
そしてこの”日本”の繁栄もローマの場合と同じように、
やがては日本の国民大衆を遊民化し、その家族や伝統的共同体を解体して大衆社会化状況を作り出し、エゴ、悪平等主義、活力などを福祉、怠慢そして画一的な全体主義の中に社会を解体させていくことになるかもしれないのである。
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なぜ世界に誇る国鉄新幹線が急に乱調をきたし始めたのか。
それは決して「十年目の疲れ」というような技術的理由のみによるものではなかったようである。
決定的な理由は、技術を使いこなし、維持保安する国鉄組織の荒業であった。
国労、勤労などの暴走組合による不法な「順法闘争」やストによって職場秩序が乱れに乱れ、
勤労のモラルと責任感が低下し、国民に奉仕する感覚が麻痺させられていたことこそが、乱調の最大の原因であったと判断される。
ちなみに、昭和47年4月から48年3月までの一年間のうち実に81日間、つまり5日に1日以上も、スト、「順法」闘争で国鉄は機能麻痺状態に陥っていた。
48年の春闘時についても、2月1日から4月27日までの間にスト、「順法」は25日(3日に1日)もうち続き、
これに怒った乗客が上尾事件(3月13日)、首都圏国電騒動事件(4月24日、25日)を引き起こすまでに至っていた。
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昭和47年の5月から6月にかけて前後6回に渡り、東京都練馬区石神井南中学校で発生したと伝えられた光化学スモッグによる集団的被害に関し、
臨床医学的立場から調査を進めていた東京都衛生局「東京スモッグ対策研究プロジェクトチーム」は、生徒たちの全身症状は主として恐怖感と集団心理が作用した心因性によるものであって、
光化学スモッグによるという断定はできないという報告を発表した。
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ある新聞記者のルポルタージュは、次のような驚くべき事実を伝えている。
「・・・昨年春、社会党のある県議は漁民の集会でぶっていた。
『放射能は恐ろしいよ。”むつ”が湾内を汚すだろ、それがたまりにたまってな、
一定の限界にまで達すると、ドカーン、核爆発を起こすんだ』。
県議は後になって新聞記者である私がそこにいることに気づき、
『この程度に話を大きくして聞かせんと、原子力について無知な漁民は意のあるところを理解してくれんのでな』
と照れ笑いを浮かべながら私に耳打ちした。
そういうオルグの効果だとは思いたくないが、一般の漁民は昨年後半から”むつ”を厄介なものとして見るようになってきたことは事実だった」。
放射能が湾内に蓄積し、それが一定の限界を超えるとドカーンと核爆発を起こすとは
なんという途方も無いデマであろう。
しかし、現実にはこうしたデマという「情報汚染の放射能」が世論の中に累積され、
哀れなわが原子力船「むつ」を政治的に「轟沈」してしまったのである。
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