木戸孝允日記の第2巻を予約したらこの本が図書館に届きました。
この本には、木戸孝允や高橋是清の自伝などが納められている。
前回第1巻を読んだわけだが、この本は現代語訳され、かつ端折って掲載されているので、
とても読みやすく感じた。
また、高橋是清の自伝があったのはとてもよい。
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明治5年正月22日
(遣欧使節団として)シカゴに到着した後の木戸孝允
余は御一新の年、多忙の際に建言して五箇条の誓約を天下の諸侯・華族・有司(官吏)になさしめ、
いささか億兆(人民)の方向を定む。
しかして今日、それを確固たらしむるの根本たる法律が定まらずんばあるべからず。
故に、この旅行の先々で各国の根本とするところの法律および政府の組み立てなどを調査せんと欲し、何にその意味を申達せり。
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高橋是清が慶応3年(1867年)、渡米し、現地で奴隷契約に署名したときの話
南北戦争は1865年に集結し、憲法も改正されている。
まもなく、ヴァン・リードの親爺が私と一条とに、いっしょに自分の役所まで来てくれという。
今考えると、ヴァン・リード老人は公証人をしていて、役所というのは公証役場のことであったのだ。
行ってみると、そこにはこの間会ったオークランドの若主人もきている。
やがてヴァン・リードは一枚の書付を一条に渡して、二人でサインをしろという。
一条はそれを見ていたが、なにしろフランス語から英語に移って間もない時であるから、
何が書いてあるかさっぱりわからない。
ーー中略ーー
一条が書付を見て「なんだか、お前はあっちへ行ってしまう、なんでも三年ということが書いてある」というけれども、さらに疑いは起こさなかった。
ーー中略ーー
私は「暇を下さい、私はあんな奴といっしょにいるのはいやです」と申し出た。
すると主人は、
「お前は勝手に暇をとって帰るわけには行かぬ。
お前の体は、三年間は金を出して買ってあるのだ。
現にお前は、友人と二人で書付にサインまでしたではないか」
という。
私は驚いてしまった。
あのとき署名したのは身売りの契約書であったのか。
ーー中略ーー
私は一条と二人で、実は自分はこういうわけで奴隷に売られていると、
一部始終を話したところが、冨田氏も非常に驚いて、
それはまず第一に契約書を取り戻さねばならぬと、いろいろ相談の結果、
藩から命令を受けたことにして、当時、幕府からサンフランシスコの名誉領事を嘱託されていたブルークスに訴えてみることになった。
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世界ノンフィクション全集 50
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