法治国家日本における日本国憲法の役割というか、機能について述べている本
===============
清宮四郎先生の「憲法Ⅰ[第三版]」は、日本国憲法における「法の支配」は
「明治憲法時代よりもはるかに強化されている」と述べて、
不充分ではあっても「法の支配」がすでに明治憲法にも含まれていたことを示唆しつつ、
日本国憲法において強化された「実質的『法の支配』」は、次の諸点に表れているといいます。
すなわち、
①「個人の尊厳」を根源的価値と認め(13,24条)
②基本的人権を永久不可侵とみなして(11,97条)、最高法規としての憲法(10章)によって広くこれを保障し(三章)、保障は法律の内容と手続の適正に及び(31条)、
③司法権は行政事件を含めて全ての法律上の争訟に及び(76条、裁判所法3条)、
裁判所の法令審査権を認め(81条)
④国民主権の原則を確立し(前文)、国会の国権の最高機関性・唯一の立法機関性(41条)を定めることによって、民主主義と結びつけて「法の支配」に正道を歩ませている、と。
===================
(戦前)裁判官有志による司法権独立運動のリーダーであった丁野暁春は、
(中略)
憲法上の「司法権独立の規定は実質的には骨抜きとなり裁判所は司法大臣たる行政権の従属機関と成り下がっているのである」と断じたところであった。
=================
「日弁連での議論に最も欠けているのは、人権擁護の活動をいっそうおこなうためには、
今よりはるかに多くの弁護士を必要とするという観点であ」り、
そしてこうした「弁護士の側の増加抵抗論を口実に」
「司法の容量を小さくしておくという司法政策」が根強く存在してきた、との指摘が見られるところである。
(宮川光治「明日の弁護士 その理念・人口・養成のシステム」などより)
ここまで
現在では司法改革が行われ、少なくとも政策側の「意図的な政策」には当てはまらないように思われる。
この改革がいいかどうかとは別問題として
↧
日本国憲法と「法の支配」 佐藤幸治
↧