ずい分前に購入して積読されていた本
旅行中いい機会だったので読みました。
内容は、日本語の身近な訓読みの単語にどういうルーツがあったのか、というもの
漢字が導入された際に、渡ってきたのがおそらく音読み
それより前からあったであろう訓読みの言葉に漢字をおそらく当てはめたであろう、と思っています。
=================
ひこ(彦)
ヒは日・太陽。
ムスヒ(産霊)・ヒモロキ(神籬)のヒと同じ。
コは男子の意。
太陽の子、あるいは太陽の神秘的な力を受けた子の意。
尊称として男神の名に冠せられ、また男の名前の下につけて使われた。
================
初穂
古代社会にあって、秋の稔りは、どんなにか待ち焦がれただろうか。
近世になっても東北諸藩においては凶作の年は飢饉にあえいだ。
いわんや古代社会にあっては、ストックも少なく、秋の収穫を社会全体が待ち望んだのである。
しかも、この稲は信仰的に天照大御神から天孫瓊瓊杵命(ににぎのみこと)に与えられ、
我が国土において栽培されるようになったと考えられてきた。
その初穂はどうしてもまず神前にお供えせねばならなかったのである。
その祭りが新嘗祭である。
===============
酒(さけ)
「さけ」は、古形「サカ」の転といわれる。
造酒児(さかつこ)といえば、大嘗祭の黒酒・白酒を造ることにたずさわる少女のこと。
古く酒造りに女性が関わったことがわかる。
刀自(とじ)という女性への敬称が転じて、杜氏(とうじ)すなわち酒造りの職人を意味するようになった。
==============
祭り(まつり)
「まつり」の語源は、「神や人に物を差し上げるのが原義。
類義語イハヒ(祝)は一定の仕方で謹慎し、呪(まじない)を行う意。
イツキ(斎)は畏敬の念をもって守護し仕える意」とされ、
更に詳しく言うと「潔斎して神を迎え、神に食物その他を差し上げもてなし交歓し、
生産の豊かなこと、生活の安穏、行路の安全を求める」(「岩波古語辞典」)と解説される。
=================
めでたし(目出度・芽出度)
通常「おめでとう」は祝いの言葉として何の不思議もなく使われている。
「めでたし」の語源は「メデ(愛)イタシ(甚)の約」(「岩波古語辞典」)とされ、
はなはだしく愛でる意だという。
申し分なくすばらしく、賛嘆する様をいう。
つまり、ほめことばである。
転じて、慶賀すべきことを意味した。
==================
やまと(大和・倭)
大和は国の「まほろば」(すぐれたよい所)、山並みは青々と樹木が垣根のように茂っていて、
山に囲まれ、山陰っている。
大和は美しい、という意。
このように山に囲まれた場所が「やまと」の原義であろう。
↧
日本語と神道 茂木貞純
↧