この本は、トヨタがバブル崩壊前後からとりかかった人事制度の改革について説明している。
労働人口の低下が見込まれ、それまでのようにスライド式に平、課長、次長、部長へと登っていくサラリーマン社会が期待できなくなることをいち早く感じ取ったトヨタが
いかに人事制度を変えていったのか、どのような苦悩があり、社内の反発もあったのかを説明していてとても面白かった。
というのは、今ではこうした管理職のポストではなく、専門職として生きていくポストが生まれている(この本ではスタッフ職と呼んでいた)。
現代から見ればそれは当たり前のものだが、
当時なかった中でそうしたものを最も早く導入していったトヨタはたしかにすごいと思う。
最も苦労したであろうことは、当時の社員に専門職として生きていくサラリーマンとしての道を浸透させていく、という地道な作業であったであろうことはわかる。
管理職への道が狭くなっていき、自分のサラリーマンとしての将来に絶望しつつある(気づいていない場合もあるが)そういう社員に対しての新たな道の提示であるから