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アラブ500年史 下 ユージン・ローガン

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下巻は、第二次世界大戦後からアラブの春までですが、ほぼ湾岸戦争ぐらいまで

 

トピックとしては

・アラブ諸国の独立

・OPECを軸とした石油組織

・冷戦崩壊

 

この本を読んでつくづく思うのが、中東の歴史は単一国を見てもまったくわからん、ということ

当事国+周辺国+英仏露 (第二次大戦後は+アメリカ)

の関係性を見ていかないとわからない。

 

たとえば、エジプト

大戦後、エジプトは独立を果たし、中東のアラブの雄としての立場を強め、シリアまでその勢力を伸ばしていく。

それが気に入らない英仏はイスラエルと与してエジプトに攻めようとする。

その英仏の態度が気に入らないアメリカは英仏にやめさせようとするが、なかなか言うことを聞かない。

エジプトはアメリカから武器を買いたいがあまりもらえないので、とうとう反対勢力のソ連から武器を融通してもらおうとする。

などなど

 

冷戦後はソ連と中東の関係は薄れ(というか、ソ連が力を失う)ていく。

 

湾岸戦争の発生した理由がとても面白い。

よく聞くのがイラクから見てクエートの領土の一部はイラクのものだ、という主張から戦争をしたというもの

ただ、これには背景があって、イランイラク戦争でお金がなくなったイラクは

その借金を石油で返していきたい。

つまり、石油価格を一定程度に保ちたい。

1バレル25ドルにはしておきたかったイラクであったが、

価格が14ドルまで落ちて窮地に立たされる。

さらに、クェートのように、OPECに属しながら割り当て以上の量を生産し始めて大きな利益を出し始めた。

経済的苦境に立たされると、人は他にその責任をなすりつけたくなるもの

イラクは自らの苦境はクェートのせいだと批判し始め、領土を理由にかこつけて戦争を開始し始める。

 

 

 

 


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