著者は元住友銀行の行員
住友銀行の中から見た、イトマン事件の全貌が描かれている。
この本は、著者が当時マメに記録していたメモ帳を元に記載していること、
イトマン事件のことを週刊誌、大蔵省、他の銀行および自分の銀行(住友銀行)の役員にあてて匿名のレターを出し続けたことにより明るみに出て、膿が出た
ということから第一級の史料と言える。
イトマン事件の全貌というよりは、その事件に対してもどかしい住友銀行の対応、銀行という組織の中身が垣間見える内容だ
半沢直樹の中の痛快でない組織のゴチャゴチャ、政治的動きのみがクローズアップされている、といってもよい。
そんな組織だからこそ抜本的な改革は出来ず、90年代末、21世紀初めまでかかってようやく痛みを伴った改革が行われ、低迷した10年とか15年とか言われるようになったのだろう。
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