平成17(2005)年1月、インド洋の大津波を受けてインドネシアのジャカルタで開かれた
東南アジア諸国連合緊急首脳会議で、シンガポールのリー・シェンロン首相が
日本の小泉純一郎首相に
「日本では小学校の教科書に『稲むらの火』という話が載っていて、
子供の頃から津波対策を教えているというが、事実か?」と尋ねてきたそうです。
『稲むらの火』は昭和12年から昭和22年までの小学校の国語の教科書
に載っていた話でしたから、
戦後の教育を受けた小泉首相はこの質問にこたえることができませんでした。
当時の教科書や新聞の記事がこちらに
稲むらの火とは、1854年(安政元年)の安政南海地震津波に際して
紀伊国広村(現在の和歌山県広川町)で起きた故事をもとにした物語です。
地震後の津波への警戒と早期避難の重要性、人命救助のための犠牲的精神の発揮を説いたものです。
なぜ、これが海外で知られているのか。
その理由の一つは小泉八雲にあります。
この物語自体は実話であり、濱口梧陵をモデルにしたものなのですが、
これに目をつけたイギリス出身の作家ラフカディオ・ハーンの知るところとなりました。
彼は日本に帰化し、小泉八雲と名乗るほど日本に愛着を持った人物です。
彼が明治29年(1896年)に英語で出版した「ブッダの国の落ち葉拾い」という
短篇集に並外れた偉業によって村人から「生き神様」として慕われている
紀州有田の農村の「長兵衛」の話が紹介されました。
「13歳からの道徳教科書」 を元に構成
私も含めこんなことがあったことも多くの日本人は知らず、
あの東日本大震災を迎えてしまいました。
こういう教訓を知るためにも歴史をきちんと知らねばなりません
そうでないと、あの東日本大震災の教訓さえ、
いつ来るかわからないが必ず来るであろう大地震の際に
忘れ去っている可能性があるからです。
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稲むらの火
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