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電力システム改革をどう進めるか 八田達夫

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電力システム改革をどう進めるか/日本経済新聞出版社
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電力の自由化を進めるといいよ、という趣旨の本

正直、いいことしか書いていないので信用ならない。
一応本の中に「自由化への懸念」のようなものを想定して、それに反論しているのですが
どうでもいい懸念です。

個人的な考えとしては、電力というのは一般の商品と違って差別化ができない。
値段でしか違いを出すことができません
よって、より安い電力を提供できるものが市場を席巻できる。
かつ電力市場は参入コストが高い(初期投資がかかる)ので、なかなか参入しづらい
より安い電力を提供するには、
・大規模の発電所をつくる
・高性能の発電所をつくる
に限ります。
これには、高額で継続した投資が必要で、
一度シェアが伸びれば、より大きな投資を行い、シェアを拡大することができるとかんがえられる。
つまり、市場の寡占化が進みやすい市場だと私は考えます。

よって、電力市場を自由化した場合、最初の頃は多くの企業が参入し、
価格競争の結果低価格の電力の恩恵を受けられるでしょう。
しかし、競争が激化すると強大な企業が生き残り、寡占状態が形成されます。
結果として価格競争は発生しなくなるので、電気料金は高くなるとかんがえられる。
しかも自由化した場合は、退出する自由もあるため、
電力需要の少ないところからは簡単に企業が退出しかねません。

すると、電力供給の豊富な地域と貧弱な地域に分化されていき、
ますます地域間格差も生まれかねず、しかもその差を埋めることは難しくなってしまう。

ということで、私はこの本を読んでも自由化が正しいとは思えませんでした。

むしろ、今の状態で電力会社が電気代を下げる努力をするような仕組みを作ったほうがいいのではないか、と思うのです。





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