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有明海はなぜ荒廃したのか 江刺洋司

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長崎県有明海の干拓にともなって漁業に深刻な影響を与えた
私達は、そう学校教育で習っている。
果たして本当だろうか
この本はその考えに一石を投じている。

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私達が食べる海苔、コンビニで出ている黒光りするあの海苔

各県漁連は独自のノリを特産品にすべく、多収性、好塩分適応性、高色調性、高旨味性
などの形質を求めて、さらに育種を続け、現在の焙らずに食べるのが当たり前の黒光する海苔が主役になってしまったのである。
焙る必要性の欠落は、コンビニのおにぎりの機械化製造にも好都合であったことから、
真っ黒な包み紙として海苔の消費が急速に増大することになった
(有明産海苔は全国の出荷量の約4割を占めるという)
海苔の芳しい香りとは無縁な三角形の食べ物、それが至るところに散在するコンビニのおにぎりであり、それを今の若者は本物のおにぎりと認め愛用しているようだ。
しかし、生産者も商社もこの黒光する海苔が危険な食品であることを隠し通すために、
消費者への情報開示を避け、利益追求に励んできた。

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ノリは多種のアミノ酸を多量に準備することができて初めて自らの生長のための
タンパク質・核酸をつくり上げることができるが、
漁民が使用し海に廃棄した含有機酸ノリ活性剤は、
競合相手の植物プランクトンの増殖の方をむしろ優先に促してしまい、
赤潮を惹起するということになってしまった。
ノリ養殖漁民こそ自ら墓穴をほったのであり、有明海荒廃の被害者ではなく、
加害者であることの責任を自覚せねばならない。

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赤潮起源の有機態物質が海水温度の上昇に伴って酸化分解を受けるようになり、
急速に海水中の酸素を消費して貧酸素水塊を次々に作り出して、
やがては酸素をも消費し尽くしてしまい、
ヘドロ内部では盛んに猛毒のH2S(硫化水素)ガスを発生させる
ようになる。
そうなってしまうと、H2Sガスは海水への溶解度がきわめて高いため、
満潮時の底層流に溶け込んで遠浅の干潟にまで流れ込み、
逃げることのできない底生生物の全てを殺してしまうというストーリーである。



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