私は毎朝、その日飲むボトル入りの水を買う。
はっきり25ナイラと表示されている。
「水を一本ください」
「30ナイラです」
「いや、25ナイラと書いてあるよ」
「すみません、25ナイラです」
私は両替商がくれるいちばん少額の50ナイラ札を渡して、おつりを待つ。
「えっ、おつりは25ナイラのはずだ。20ナイラではないよ」
「すみません、こちらが正しいおつりです」
毎朝、同じ女性が同じごまかしをしようとする。
ーー中略ーー
一週間後、私は言わずにはいられなかった。
「僕はあなたから水を一本買うけど、あなたは毎日25ナイラの水を30ナイラだと言い、
毎日僕が訂正し、そして毎日あなたはまちがったおつりをくれようとする。
僕には手口がわかっている。
毎回僕はそれを指摘する。
あなたは僕が手口を知っていることを知っている。
僕をごまかそうとするのをやめて、正しい値段を請求して、正しいおつりを渡すことにして、
毎朝この言い合いをするのをやめないか?」
「そのとおり、お客さんは毎日ごまかしに気づきますね。
でも、もしこれを100日間毎日やったら、ある日お客さんは忘れるかもしれない。
そうすれば私は余分に5ナイラ儲けられます」
彼女の正直さには頭がさがる。
世界は貧困を食いものにしている ヒュー・シンクレア より
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ナイジェリアでのこと1
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