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ノモンハン秘史 辻政信

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ノモンハン秘史/毎日ワンズ
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第二次世界大戦前、昭和14年当時の満洲とモンゴルの国境線上で起こったノモンハン事件
きっかけはソ連軍が国境を超えて攻めてきたことで、
関東軍と戦いました。

れっきとした戦争だけど、「宣戦布告」がないので「事件」

一般的な学校教育では日本はソ連の戦車部隊にズタボロにされた、とされているが
ソ連公開後の資料によって、ソ連側の方が損害が大きいことがわかっている

著者はこの戦いを指揮した方



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日に約千輌の自動車を以って補給されながら、日本軍よりもはるかに悪い給食で、
外蒙の草原に骨を晒すソ連兵に、一抹の同情を禁じ得ないものがあった。
彼等は出動以来一ヶ月になるが、酒や煙草の加給品は、何一つ貰ったことがない。
毎日一片の黒パンと岩塩だけだ。
水もまた十分でなかっただろう。
我に倍する自動車を使いながら、全力を挙げて弾丸を、ガソリンを、送っていたのである。
一切の贅沢品を作らないで、戦車と飛行機の製造に全国力を傾けているソ連の底力には、
敬服と驚嘆を禁じ得ない。

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著者辻政信の遺書より

ーー前略ーー
骨を削られるような苦闘において、父は卑怯な行動は断じてなかった。
戦況の悲境の渦中にいつでも身を挺したことは功名心から、好奇心から出来るものではない。
順調なときには誰しも第一線に出たがるが、躓くと志願者がなくなる。
父の場合も同様だった。
お前たちが将来ご奉公するときにいつも考えなければならないことは「得をしない」ことだ。
「損をする人」になれ。
正しいものは何時の場合も物質的には、本能的には恵まれないものである。
これを覚悟して算盤の取れない仕事を、人の嫌がる仕事を、黙って引き受けてやり貫くことが人の道だ。

父はこの事変を通じて幕僚としての戦場においては落第しなかったが、
東京都の連絡、協調で落第したのだ。
ことを行うときには敵と味方と、内と外とを見究め、
大なる目的のために小事に属することも必要であるとは知りつつも、
ついに壮年血気の父にはその器量がなかった。
父は未熟であった。


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