![]() 【楽天ブックスならいつでも送料無料】〈新訳〉フランス革命の省察 [ エドマンド・バーク ] |
この本は、フランス革命が1年後、1790年にイギリスの保守派の政治家が書いたもの
フランス革命がどう起きたか、というよりどう捉えるか、に主眼を置いている。
かなり批判的です
実際にフランス革命の終末は、あの有名なナポレオンによる軍事独裁政権になった。
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世の中には、国体の基盤たる憲法を愛するとか、名誉革命の偉業を称えるとか言いつつ、
何かにつけてその理念を逸脱したがる者たちもいる。
ここまで
日本で言えば護憲派がそれにあたりますね
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連中(改革派)の手にかかると、経験に頼るのは学がない証拠になってしまう。
しかも彼等は、古来の伝統や、過去の議会による決議、憲章、法律のことごとくを、
一気に吹き飛ばす爆弾まで持っている。
この爆弾は「人権」と呼ばれる。
長年の慣習に基づく権利や取り決めなど、人権の前にはすべて無効となる。
人権は加減を知らず、妥協を受け付けない。
人権の名のもとになされる要求を少しでも拒んだら、インチキで不正だということにされてしまうのだ。
人権が出てきた日には、どれだけ長く続いてきた政府であれ、
いかに公正で寛大な統治を行ってきた政府であれ、安心してはいられない。
人権を旗印にする者は、つねに政府に抵抗する。
それも圧政に文句をつけるのではない。
統治能力の有無、さらには政府を名乗る資格の有無を問題にしてくるのである。
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民衆の行動は、世論によって必ず支持される。
世論とは民衆の意見なのだから、これは当然であろう。
完璧な民主主義こそ、もっとも恥知らずな政治形態なのだ。
そして恥知らずということは、とんでもないことを平然としでかすことを意味する。
やりすぎのせいで罰せられるのではないかと恐れる者はいない。
いや、民衆はそんな不安を抱く必要がないのだ。
刑罰とは本質的に、民衆全体を保護するための見せしめとしての性格を持つ。
裏を返せば、民衆全体を罰することなど誰にもできない。
だからこそ「民意は常に正しい」という発想を許容してはならないのである。
好き勝手に権力を行使してはいけない点では、君主も民衆も同じだ。
しかも民衆の横暴は、君主の横暴と比べても、社会に大きなダメージを与える。
民主主義が機能するためには、民衆はエゴイズムを捨てねばならない。
宗教の力なくして、これは全く不可能といえる。
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古代人の達した結論とは、すなわち
「絶対的な民主主義は、絶対的な君主支配と同じくらいタチが悪い」というものであった。
ーー中略ーー
民主主義と独裁は、驚くほど多くの共通点を持つ。
こう喝破したのはたしかアリストテレスである。
民主主義の元では深刻な対立が生じやすくなるが、
少数派となった人々は、多数派から情け容赦なく弾圧されるだろう。
多数派による弾圧が及ぼすダメージは、何にもましてひどいものだ。
被害者は人間社会全体から見捨てられたような思いをするに違いない。
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革命派は、評価に値する結果を出せたか。
まず歳入。
これは増えるどころではなかった。
国民議会の財務委員会メンバーであるヴェルニエ氏が、
1790年8月2日に提出した報告書によれば、フランスの歳入は革命前に比べ、
2億リーブル、つまり800万ポンドも減少している。
優に3分の1以上も減ったのである!