![]() バカで野蛮なアメリカ経済 扶桑社新書 / 藤井厳喜 【新書】 |
この本は2012年に出版されたものです。
つまり、アベノミクス前のもの
たった2年前のものだが、大きく変わったな、と思う。
アメリカの影響が弱くなったのか、最近じゃあまりアメリカ経済について話題になりませんね
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2011年11月5日には「バンク・トランスファー・デイ」があった。
これはOWS運動(オキュパイ・ウォールストリート)に刺激を受けて、
クリステン・クリスチャンという若い女性がフェイスブックを通じて呼びかけた運動だ。
バンク・オブ・アメリカが、2万ドル以下の預貯金しか持たない預金者に対して、
デビットカードの使用料として、月5ドルを課金すると発表したことに彼女は怒りを覚えた。
デビットカードとは、個人の銀行口座から買い物をした時に即時引き落とすクレジットカードに類似のものだ。
このデビットカードへの手数料導入を、貧困層に対する差別だと感じたクリスチャンは、
バンク・オブ・アメリカのような大銀行から預貯金を引き出し、
クレジット・ユニオン(信用組合)のような地域の小さな金融機関の口座に移すことを呼びかけた。
11月5日のバンク・トランスファー・デイの前に、すでに約65万人の人々がこの呼びかけに応じ、
45億ドルの資金が大銀行からクレジット・ユニオンに移動したと言われている。
バンク・トランスファー・デイの1日だけでも、4万人がこの運動に参加し、
8000万ドルのマネーが大手銀行の口座から、クレジット・ユニオンの口座に移し替えられた。
クリスチャンさんの抗議の声が届いたのか、バンク・オブ・アメリカはデビットカードへの課金計画を中止している。
彼女がリーダーシップを取った運動以外にも同様のものがあり、今も継続している。
この運動の成功からも、OWS運動が火をつけた反大企業、反大銀行の感情が国民に広く伝搬していることがわかるだろう。