財政改革の課題は三つある。
第一に、コミットメントを高めるための基本的な枠組みを作る。
それは日本版財政責任法の制定である。
同法により、中期財政フレームに基づき予算を編成するとともに、
会計間の操作を抑止するため予算や会計制度の透明性を高める。
具体的には、そのときの政府が自ら財政目標を定め、その達成状況を定期的に検証することを、
政府に義務付ける仕組みである。
ーー中略ーー
第二に、財務会計責任を明確にすることであり、日本版最高財務責任者の導入である。
各省庁の事務次官や独立行政法人の長を最高財務責任者として任命するとともに、
彼らを支える組織として、専門家で構成される会計課、
外部監査人も入る内部監査委員会などを導入する。
彼らは、省庁の財務書類や年次報告書に署名し、また国会で所管する予算の執行などについて説明する。
財務会計責任を明確にすることが、予算の効率化につながる。
第三に、予算に関する意思決定の集権化である。
なかんずく、内閣が最終的な意思決定を行うべきである。
財政赤字が拡大する一つの要因は、予算編成や政策立案に関して、
内閣に入らない与党議員が拒否権を行使し、しばしば政府の意思決定を歪めることである。
与党議員は、首相や各省大臣と異なり、意思決定の責任を取る必要がない。
責任を取らないのであれば、発言は自ずと無責任になる。
田中秀明 「日本の財政」 より
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財政責任法の制定を
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