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Channel: 読書は心の栄養
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穢と大祓 山本幸司

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同和差別と大きく関わる穢(けがれ)についての本
だが、はっきり言って一般人には読む価値はないと思う。
穢の種類、説明など、学術的なものに興味があればいいかもしれないが、
この本を読んだところで、なぜこれが強い差別意識につながるのかの説明は出てこない。

日本のような「穢れ」ではないにせよ、
多くの国ではこうした「汚らわしい」と思われることで多少の差別は存在するか、していた。

中国の史記などでも、肉屋などは差別されているように見えるし、
キリスト教ではかつては色濃く「金儲け」を汚らわしいと考え、
そこに元々差別していたユダヤ人をあてがっていたわけです。

現在でも多くの人が、食べるくせに「家畜が殺されるシーン」を見ると「かわいそう」と思うのは
その名残りだし、その反面「命を大切に」ということなんでしょう。
「命を大切に」と「命を奪うことへのケガレ意識」とは表裏一体なんじゃないだろうか。

冷静に考えれば、こんなことで差別するのはバカバカしいとしか思えないが、
それでも(おそらく)無くなっていないのは教育のせいなのだろうか。

いくつか本を読む限りでは、この穢の起源は古代にのぼるけど、
実際にこれが差別に明確につながるのは、鎌倉以降の武家社会からに見えます。
都市化と関わっているという記事もよく見るが、
どこでつながるのかは不明です。

いずれにせよ、よく同和団体の中に天皇制廃止を掲げるところがあるし、
団体じゃなくても、同和差別が天皇制によるものだ、という人もいるが、
それは「お門違い」だと思う。
これが全国的に広がったのは、江戸時代のことだし、
差別が明確化されるのが鎌倉以降の武家政権以降から
だからです。

そもそも天皇制を廃止したら、自動的に差別が止むとでも思うのだろうか。
そんなわけない。

私は
・東日本はわりと上手くいっているような気がするが、「差別などというものがそもそもなかった」というぐらいに「何も知らない」状況にする
あるいは
・この差別を「いけない」といって教育するよりも、むしろ「なぜ」発生し、どれだけ「原始的」で「馬鹿らしい」ことなのかを教育する
必要があるんじゃないかと思う。


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