- 文明としてのイエ社会/中央公論新社
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よく、耳にする「イエ社会」とか「イエ文化」の崩壊
イエ社会とは具体的にどういうものなのだろう、ということで借りてきた本
この本ではウジ社会、イエ社会
とカタカナで書かれていて、最初すごく違和感を感じた。
特にウジ社会ってなんだろう、と思ったが、
漢字で氏社会、家社会
と書けばなんとなく想像できます。
この本では、古代の日本は氏社会でしたが、武家政権、つまり鎌倉時代ごろになってくると、
家社会に変わってくると言っている。
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実際、「人間性」という言葉の使い方ほど日本人と欧米人の対比を浮かび上がらせるものはない。
欧米的「人間性（ヒューマニズム）」が、外的世界（とくに自然）に対する人間中心主義を主張するのに対して、
日本的「人間性」ないし「人道」はむしろ、間柄やその中に包まれている人々への配慮を主張している。
われわれのいう間柄主義は、日本語の「人間」の意味に即して言えば「人間主義」といってもよい。
ところが日本の社会思想は、西欧語の「ヒューマニズム」をそのまま「人間性」「人道主義」と訳すことによって、重大なすり替えを行ってきた。
ここまで
欧米人にとってイルカは友達で、ブタは家畜、という考えはヒューマニズム、つまり人間中心で考えた価値観になるわけです。
日本人が人間性といった場合、世間的にどう思われるか、ということを考える。つまり人間社会だけのことを考えるので、そもそも人間関係以外のことを含まない。
そういうふうに理解しました。
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ヨーロッパと日本の対比
（一）ヨーロッパ中世社会では、日本のイエ社会に比べて、社会関係における契約的性格が強いが、しかし、それと同時に、貴族と農民の間の身分差はより固定的で厳格である。
（二）ヨーロッパ中世社会では、商工業者の自治都市が重要な役割を果たすが、日本のイエ社会ではそれに当たるものがほとんどない。
（三）ヨーロッパ中世社会では、単一の大規模な教会組織が社会全体を覆い、上級聖職者は貴族の身分に加わる。日本のイエ社会では単一の教会が社会を覆うことはないし、僧侶が俗的権力を持つことはない。
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戦後改革に見られる重要な特徴の一つは、日本社会の中のイエ的な要素の解体を図った点にあった。
その中で、イエ型企業体は、家業とともに例外的に存続を認められた。
しかし、欧米流の個人主義に影響されている日本の法律・政治制度は、
社会を個人の観点から眺める傾向が強く、集団としての主体には、不完全な位置づけしか与えなかった。
たとえば企業は、「法人」として商法上の権利・義務関係の主体とみなされていると同時に、
民法上もある限定された権利・義務関係の主体となることを認められている。
しかし、刑事罰は直接法人に対しては適用されない。
その意味では、法人は刑法の対象としては存在しない。
さらに、政治への参加権となると、法人にはまったく認められていない。
最近では、法人の「政治献金」などに対する規制も一層厳しくなり、企業を含めたさまざまな集団の社会的主体としての正統性は、ますます失われつつあるかに見える。
集団が集団の名において社会的発言をすることは、
かなり上位の一揆レベル（たとえば、企業や労働組合の全国組織、日本医師会のような家業の一揆）のものを別にすれば、企業や家業の場合ほとんど認められていない。
他方、この種の集団に対しては、もっぱら社会的な責任・義務ばかりが、一方的に押し付けられる傾向にある。
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日本が国際社会の中で果たす役割をより積極的・具体的に考えてみようとすれば、
E・O・ライシャワーがその近著「日本人」で提案しているものが、最もふさわしいであろう。
ライシャワーが、今後の日本にとってのありうべき役割として上げているのは、
日本が平和国家・経済大国の模範となること、とりわけ、
（１）非西欧諸国に対しては、西欧的な産業化・近代化に成功し、同時に外来の異文化と伝統的文化の習合にも成功した非西欧国の実例を示すこと
（２）産業国に対しては、産業社会の直面するに至った諸問題を独自の方法で解決した国としての範を示すとともに、芸能・美意識その他さまざまな独自の文化の供給者となること
（３）世界全体に対しては、人類の存続のために必要とされる全世界的な同胞意識の発展にとって、先導的な役割を果たすこと
などである。