私は、2014年2月から3月にかけて、東南アジアを旅しました。
そのうちの一カ国がラオスでした。
私がこのときに感じたのが、市場経済が全く育っていない、ということでした。
第二世界大戦後、カンボジアやベトナムと違って大きな騒乱はなかったにもかかわらず、
両国よりもずっと経済レベルは低い。
独断と偏見で申し訳ないのだが、商売をするという気持ちがあまり感じられなかったです。
率直に、この国は大丈夫だろうか、と思いました。
曲がりなりにも物価が上がり、給与も上がってきているこの国には、
残念ながらあまり活気を人々から感じられなかった。
商品経済も発達しておらず、労働意欲もそれほどないにも関わらず、ラオスには外国企業が進出してきている。
それは、単純に労働条件がいいことと、同レベルの人件費の中では治安もいいし、モラルも高いからなのだろう。
戦後、日本が奇跡の復興を遂げ、その後を台湾・韓国といった国が後を追って発展してきました。
90年代以降は中国の台頭も目覚ましい(陰りは見えているが)
モラルという面では違いはあるものの、人々の労働意欲というのは高く、みなよく働き、競争して豊かになっていきました。
ASEAN諸国のベトナムやタイ、フィリピンもそれなりに労働意欲は高いと思われます。
でも、明らかに年々世界の工場となっていく候補の国々の労働意欲は以前ほどではないし、
発展速度も皆鈍化しているように思えます。
単に人件費が安く、政情が安定していて治安もそれなりの所、というだけで選んでいるように思えます。
中国のように人件費が高くなると、その国からは離れて次の対象となる国を探していく。
残された国は自力で発展を続けていくだけの地力はありません。
少子化は世界のすべての国で起こっている傾向であり、長期的に見れば何れの国も日本のように高齢化社会になっていきます。
日本のような高度な技術力があり、貯蓄率も高い国では生き延びていけるのかもしれませんが、
他の多くの国は難しいのではないでしょうか。
そして、東南アジア→南アジア(インド)→南米→アフリカと開発地域を移していった後、世界はどうなるのか非常に不安になります。
アフリカでひと通り人件費が上がるまで世界経済が発展した後、どうなるのでしょう。
私はその頃には年寄りになっているか、亡くなっていると思いますが、
その後の人類の発展は起こるのだろうか・・・
それまでに産業革命のような抜本的な革命が起こらない限りは、人類の発展スピードはかなり停滞するのではないか、と思います。
今後の開発途上国は、産業の育成に取り掛かる前、あるいはこれから、という時には既に次の国に工場が移転されている可能性もあります。
なぜなら、工場が移転される前からある程度商品だけは氾濫し、少子化が進む中で市場が縮小しかねないから
私は、だからといってグローバル経済を完全に否定する気にはなれない。
なぜなら、現在の世界経済が発展してきた原因の一つでもあるからです。
工場の進出であったりする中で、直接的であれ間接的であれ、
先進国の技術が途上国へ伝えられていった、ということは言えます。
だからといって、グローバル経済を進める「だけ」では今後の世界経済に光明を見出すことは出来ないだろうと思うのです。
途上国への援助を行うだけでは何の解決にもならない。
なぜなら、あくまで援助とは、「持っている」からこそできるのであって、
先進国が将来にわたって「持っている」ためには、将来も今と同じように発展していなければならないからです。
だとすれば、国際援助にばかり目を向けるのではなく、
国内の産業育成・教育をより重視していかなければなりません。
国内の発展を阻害している要因(反日とかではなく)については、
また次の機会に考察してみたいと思います。
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ラオスの経済から考えた将来の世界経済
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