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ジャパン・アズ・ナンバーワン エズラ・F・ヴォーゲル

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この本は日本がバブルに入る頃、アメリカが日本に相当の危機感を覚え始めた頃に出た本です。
よく話題になっていた本で、知っている人も多いでしょう。

この歳になって初めて読んでみました。
現代から見ると、「うん?」というようなこともいっぱいあります。
しかし、当時の日本の状況を知る上ではなかなかいい。

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1970年代の前半、政府は猛然として公害問題に取り組んだのである。
まず排気ガス規制を決めた。
日本の自動車業界も、はじめはアメリカの自動車産業同様、この規制に乗り気ではなかった。
しかしホンダ工業がこの規制に応じる用意があると発表するや、他のライバル社もこれに追随せざるを得なくなった。
その結果、マスキー法原案と同程度に厳しい排気ガス規制が設けられることになった。
アメリカの自動車は、まだこれほどの水準に達していない。
新しく設置される工場排煙の基準値も環境庁が定めたが、この基準値も世界一厳しいものである。
また日本のとった公害対策のうち最もユニークなのは自動車産業に排気ガス税を払わせ、
汚染物質を出す企業に公害患者の治療費を負担させるという考え方
である。
汚染地域の公害病患者の数は多く、とても保健所や裁判所が個別に調査し原因を突き止める訳にはいかない。
そこで政府は境界線を引いて、その地域内の公害病患者の救済に対しては地域内の企業すべてが負担するシステムを考えだした。
このため、アメリカでは個人が企業相手に訴訟をおこすのに複雑な手続きや調査や高い経費が必要であるが、日本ではそれらすべてを省くことができたのである。
その結果、企業の方も補償費用を減じ、世間の反感を弱めようと、公害防止に力を入れるようになる。
ーー中略ーー
企業にとって公害対策彼我大きな負担になる場合は、政府が低い金利で設備改善費を貸し付ける。
つまり、公害対策は官庁と企業の協議によって進められ、汚染物質除去や公害防止研究に企業は多くの出資をすることが期待されているのである。

1975年のOECDのレポートによると、日本はGNPの3%を公害対策に当てている。
この比率は加盟国の中で最も高く、
「日本にとっては、公害防止に対する投資が何れの国よりも重要だったのだ」
とレポートは述べている。

ここまで
全く経緯を知らなかったが、とても「現実的」な政策でうまくいっている。
これが本当の「Win Win」な関係といえるのだろう。
今の極論で語る人には理解できないのだろうか。

================

アメリカでは、コンセンサスといえば、構成員一人一人が問題を考え、
自分の判断で出した結論が一致した場合に、それをコンセンサスと呼ぶのである。
日本では誰かが音頭を取り、他の構成員がそれに合わせるという過程を通して生まれた一致がコンセンサスと言われているのではないだろうか。


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