中西準子さんの初期(昭和54年)の作品
工場から出る排水の規制(悪い物質を**以上排水してはいけない、といった)は、
かつては企業単位で行うのではなく、下流でまとめてチェックを行っていたようです。
たとえば、工場Aが水銀を基準の2倍垂れ流していたとし、
工場Bが酸化クロムを基準の2倍垂れ流していたとする。
かりに排水がこの2社だけから行われたとすると、
下流でチェックを行うと、工場Aと工場Bの排水がまざり、薄まっていく。
両者の水は、水銀も酸化クロムも基準ギリギリに薄まっていくわけです。
実際には無数の工場と、無数の家庭から排水が行われるわけで、
かなり薄まるようになったということです。
かつては排水の問題というのはほとんど見つからなかったのではないでしょうか。
さらにいえば、「仮に」その基準値以上のものが見つかったとしても、
それがどこに原因があるかははっきりしないわけです。
この研究結果や働きかけにより、排水チェックは排水元で行うことになったため、
責任の所在がはっきりした、というのは非常に大きいと思う。
![]() 《日本評論社》中西準子◆都市の再生と下水道 【中古】afb |