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香港の昔と今とこれから

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香港はほんの20年弱前まではイギリスの植民地でした。

イギリスは、アヘン戦争の結果、まず、画面下の香港島を
次いでそのすぐ北にある九龍半島の先端部分を割譲されました。
割譲とは、国家間の合意で領土が移転すること
近代以前であれば、割譲という言葉などなくても、戦争があれば領土をもらう、というのは当然だったでしょう。

そして、19世紀末にはその他の香港や付属の島々を99年という期間、租借することにしました。
租借というのはレンタルということ
今の北朝鮮の羅津港を中国は租借していますが、同じことです。



第二次世界大戦後、中国大陸では、
蒋介石率いる国民党軍と、毛沢東率いる中国共産党の人民解放軍が、
覇権を争っていました。

中国共産党は、香港のイギリス政府と密約を交わし、
中国共産党が香港である程度自由に活動できるのであれば、
香港のイギリス政府を認める、という取り決めを交わしました。
蒋介石は香港からイギリスはとっとと出て行け、という主張であったために
イギリス政府は中国共産党を選んだ、ということです。

覇権争いは中国共産党に軍配が上がり、イギリス政府は香港に今までどおり居座ることができるようになったわけです。
しかし、中国共産党は香港界隈である程度自由に活動できたため、
どこの国でも起きたように、1960年代から70年代にかけて、
共産主義者が跋扈し、香港におけるイギリス政府への風当たりも強くなりました。

80年代にはイギリスのサッチャー首相と、中国の趙紫陽首相の間で取り決めを行い、
1997年に香港を返還することで合意しました。
当時の中国の最高指導者は、鄧小平ですが、イギリスは君主国ですから
王→首相
という序列のため、おそらくですが格下の首相が対応した、ということでしょうか?


このときの中英共同声明において、一国二制度を元に、返還後50年間は社会主義体制には組み込まない、という事を謳うわけです。

1997年、香港は返還されますが、不安に思う香港人の中には、香港から脱出した方も多くいました。

50年後の2047年までには遅くとも社会主義体制に組み込まれるだろう
それまでに漸進的に大陸に組み込まれるだろう
そういう考えから脱出したのだと思います。

香港は、規制が緩いこと、大陸の政治家などのマネーロンダリング、
海外からのマネーロンダリングなどにも使用され、
かつ中国大陸へのアクセスというのもあり、
現在アジアで有数の金融センターとなっています。


2014年、返還から17年を経て、行政長官を選ぶ仕組みを巡り、
民主主義とはかけ離れたことに怒った香港市民がデモを行っている現状です。


中国政府が彼等の求める民主政治を認めることはありえないでしょう。
かといって、天安門事件のような戦車を駆り立てて弾圧する、ということも不可能だと思います。
活動家を陰に陽に追い込んでいくのではないでしょうか。
私は、香港は必ず大陸に飲み込まれていくだろうと思っています。
2047年にまでなれば、ほとんどの香港市民は中国の愛国教育の影響を強く受けることとなるでしょう。
そのときまでには、メディア、司法、立法機関が大陸の影響に絡め取られていくことになると思います。
香港は中国国内の都市であり、(まあ)元来から中国の都市とも言えるため、
大陸に組み込まれること自体は想定内だし、許容せざるをえないです。

しかし、こうした政府の対応を見ていけばいくほど、近隣の国々、特に台湾などは中国大陸との関係についてより真剣に考えざるをえなくなってくるはずです。
いつのまにか、国民党に牛耳られているメディアが、共産党に牛耳られている、なんてことになりかねません。

また、国内の政府にとっての不穏分子、特に東トルキスタンの人々がこうした活動に呼応して活動を活発化させていくでしょう。
香港においては、大陸に組み込まれるか、中国共産党が瓦解するか、
どちらが早いのかでしかないように思えます。


日本にとってはどうなんだろう。
世界経済という面ではこの香港のデモは不安定へとつながるので好ましくない。
日本経済にとっても、短期的には好ましくない。
でも、中・長期的には中国政府が弱体化し不安定になっていくのは、安全保障の観点からは好ましいでしょう。
中国が分裂していくことを強く願います。

もちろん、日本政府がいずれの方向にせよ、支援を直接行うことは避けなければならない。
あらぬ批判を受ける余裕は現在の日本には存在しない。
国民が、この香港のデモを盛り上げていくことが重要なのではないだろうか。
この活動を通じて、中国についての負の一面をみなが改めて見ていくことが必要だろうと思います。


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