コンビニとかでよく見かけた本
十河信二は戦前は満鉄の総裁として、戦後は国鉄の総裁として新幹線導入を行った人
十河信二の生涯を通して見た日本の歴史なので、戦前の方が長い。
個人的には、新幹線導入の件についてもう少し詳細に知りたかった。
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関東大震災にて後藤新平の「帝都復興根本策」
一、遷都すべからず
二、復興費に三十億円を要すべし。
三、欧米最新の都市計画を採用して、わが国に相応しき新都を造営せざるべからず。
四、新都市計画実施のためには、地主に断固たる態度を取らざるべからず。(過去において地主は市の改良工事に対して公正の原則の要求するごとき犠牲を払うことなく、不正の利益を収受したり)
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浅原(建三)がまず石原(莞爾)の真意を問いただしたのは
「満州は日本の生命線であるというが、それは対ソ生命線なのか、対中国生命線なのか」
ということだった。
「石原さんの念願はアジアからソ連勢力を駆逐したいということであり、
シベリアを資源の宝庫だとも、生産増強のためにシベリアが必要だとも考えていなかった」
石原は「ソ連がシベリアという通路によってアジアに出てくることはアジアの生存を脅かし、アジアの平和を乱す。
アジアへのソ連の進出を食い止める、そのための生命線である。
その間、余計なことをしてはいけない。
いわんや日中戦争などしてはいけない。
日中が戦って得をするのは英国、米国、仏国である」と熱く語った。
「満州国はつくったが、中国は統一すべきで戦ってはいけない、という矛盾」
をどう説明するのか。
石原は「中国統一の中で満州国は例外である」と率直に語った。
「何故、例外なのか。
満州の住民の基本は漢民族ではない。
満州族が中心であり、それに非常に多くの朝鮮民族が入っている。
満州の水田のほとんどが朝鮮民族によって開墾されたものだ。
後に山東省から漢民族が移民してきた。
それにロシアの系統も入ってきた。
満州事変当時の日本人は60万から70万人。
満州と中国は一つではない。
だから満州だけは例外として五族協和にし、できれば日、中、満の三国同盟を結ぶ必要がある」
石原は「中国の統一を助け日中親善関係を強化する。
日中が戦うような事になれば、共倒れだ」と強調した。
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鳩山首相との”密約”
「僕が総裁(国鉄総裁)になる以上、どうしても東海道線の広軌新線建設に取り組みたい。
明治以来、後藤新平や仙石貢、技術者の島安次郎らが幾度もこれに挑戦したが、
政友会と民政党の政争の中で、恨みをのんで死んでいった。
僕はこれをどうしてもやらなきゃならん。
これをやらせてくれるか。
広軌新幹線は後藤新平以来の夢であり、この際やらなければ、未来永劫にできず、
後世に大きな罪を残すことになる。」
「各大臣や党の幹部には今後、私から諒解を得る努力をするが、万一、説得できない異論者が出た場合、最後に総理、総裁としてあなたが断を下してほしい。
ーー中略ーー
僕は最大限5年間でこれをやり遂げる覚悟をしている。
初年度に100億円以上の予算要求はしない。
百億円だ。
あとは一千億円かかるか二千億円かかるかわからないが、この百億円で研究して案を作り、五年間で完成させることをお約束する。
全体でどれだけ金がかかるかわからず、それも広軌の新線建設といえば、反対論も出るだろうから、当分は総理の胸のうちにとどめておいてもらいたい」
鳩山はポケットから手帳を取り出し「東海道広軌新幹線、五カ年継続事業、初年度予算百億円以内」と書き留めて、「わかった。承知した」と十河の手を握った。
この瞬間に「東海道新幹線建設計画」が動き出したといっても良い。
それは国鉄総裁就任を受諾する十河の条件であり、時の総理大臣、鳩山一郎との”密約”でもあった。
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