この本は、「敗者の日本史」というシリーズの本で、事件の敗者側にスポットをあてているようです。
私は、二・二六事件について詳しく知りたく思ってこの本を借りてきましたが、なかなか面白い。
この本を読む限りだと、石原莞爾は二・二六事件に何らかの形で絡んでいたように思える。
麻生太郎の祖父の牧野伸顕は、大久保利通の息子で、二・二六事件で将校に襲われた。
このとき、麻生太郎の母親である吉田和子がそこに居合わせた。
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磯部によれば、石原・満井は磯部に握手を求め
「君らの意思はよく判っている。君らの悪いようにはせぬ。
ここは男と男の腹と腹ではないか。
俺に任せて撤退してくれと言いました。」
(二・二六事件裁判記録、105頁)
というのである。
石原はこの時点でもなお「君らの悪いようにはせぬ」と言っているのである。
(磯部は「が、私は石原大佐の腹が判らないので腹と腹と言われても問題にならぬと言いました」という)。
これが撤退説得のための虚言でなかったことは、鎮圧後にわかった。
すなわち、事件後の3月2日に木戸幸一内大臣秘書官長にもたらされた「陸軍の意向」はほぼ
①国体の明徴
②国防の強化
③国民生活の安定
の三点であり、首相候補者に山本英輔の名も出ているので、石原の意向が強く働いているとみられるのである。
そして、二・二六事件後にできた広田内閣の七大国策に「国民生活の安定」と「国防の強化」が入っているので、これも当時参謀本部で強い影響力を持っていた石原の力によるものとみられる。
石原は(実質的内容はともかく)こういう形で帝国ホテルプランを活かしたのであった。
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