特に高度成長期までの日本経済に典型的だった独特の経済システム
これを称して「日本株式会社」と呼んでいる。
この本を読んで感じたのは、
戦後の日本の独特の経済システムは戦時中に作られ、
その基盤は戦前の満州国の経済政策にあったということ
そして、戦前から戦後においてこのシステムの構築に深く関わったのが
岸信介元首相です。
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アーチボルド・マクリーシュのフォーチュン１９３６年９月日本特集号のレポート
彼は、日本経済の特殊なシステムに注目している。
それはわれわれが注目する銀行など、金融機関や行政制度、労働慣行にも及んでいた。
以下はその抜粋である。
「日本の国際競争力の優位は画一的でまとまりのある適応力に優れた社会システムによってもたらされ、そうして国が一丸となって努力するに至った。
そしてそれは、どの国も真似ができない」
「日本の産業の頂点にあるのは、金融面、法律面から行われるさまざまな産業統制である。
日本は欧米から金融システムを導入した。
しかしそれは、われわれのものとは違うものだ。
産業資本と銀行は対等の関係でビジネスをしているわけではない」
「日本はどの国家よりも統一された産業計画をもっており、それが輸出力を支えている。
画一的でまとまりのあるシステムは、どの国もまねができない」
そしてマクリーシュは、レポートの中でこう断言している。
「現在日本以外のあらゆる国でとられている産業制度は資本主義であれ、国家主義であれ、共産主義であれ、すべてのものが面倒で役立たずに見えてくる。
つまり、日本の産業制度は同時代のどんな国の制度とも似ていないのだ」
ここまで
気になったので、当時の雑誌を取り寄せることにしました
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このころ満州国で制定された法律は、「満州経済統制関係主要法令集」のなかに見ることができる。
「国家総動員法」「重要産業統制法」「貿易統制法」「臨時資金統制法」など、
統制のための法律は工業、貿易、金融など主要産業をはじめとし、流通システムまで社会の隅々に及んだ。
そして多くの法律が、後の日本に持ち込まれることとなった。
未だ存続の議論が続けられている「食糧管理法」（昭和１７年制定）も、
満州国で既に「米穀管理法」というかたちで実施されていた。
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戦争経済遂行のために構想された指定金融機関制度は、戦後の戦時保障打ち切りに伴う企業再建整備計画策定のプロセスで関連企業の経営内部に深く関わることとなり、そのままメインバンクとなっていった。
戦中の指定金融機関が政府の上からの指定であったのに比較して、
戦後のメインバンクは戦時補償中止でずたずたになった企業経理の再建に主体的に関わらざるを得なかった点で、
そのコミットメントの度合いに格段の差があったことである。
企業に人材を送り、内部情報にアクセスしながら、企業とともにリスクを負って企業再建を果たすという点で、
戦後日本のメインバンクは優れたベンチャー・キャピタリストと同じ役割を果たしたといえよう。
それは単に資金を貸し付けるだけでなく、企業に蓄積された経営資源や情報を共に利用し合いながら、かなり難しい再建（それは壊滅した日本の企業復興というベンチャー・ビジネスに匹敵するような事業計画）の実行であった。
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岡崎哲二
戦後の日本について言いますと、計画化といっても、官僚が全てを計画したということではなくて、
政府の様々な計画とか、あるいはそれに基づいた産業政策、あるいはその他の政策を官僚が形成する上で、それを支えるような基盤がきちんとあったということが重要だと、私は思っています。
それは具体的に言うと、審議会という制度があって、
そこに民間の業界団体とかあるいは有力な企業の代表者が参加して、
そこで民間と政府の間の情報の共有が行われているとうことであるし、
さらにその前提としては、業界団体という仕組みがあって、
その業界団体のレベルで、企業間の情報の共有とか利害の調整とかが行われている。
そういう、企業があって業界団体があって審議会があって政府があるという形で、
政府が立案・実施するさまざまな政策を支える基盤がきちんとあったということが、
戦後の日本の計画とかあるいは産業政策とかの成功の基礎になっただろう、
というふうに思うんですね。
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「日本株式会社」の昭和史 小林英夫・岡崎哲二・米倉誠一郎・NHK取材班
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