Quantcast
Channel: 読書は心の栄養
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1745

二宮金次郎の一生 三戸岡道夫

$
0
0
薪を背負って歩きながら本を読む二宮金次郎
彼の伝記

この本を読んで思ったが、彼の各地での復興支援は様々な理由で失敗したり頓挫しているものもいろいろあることがわかりました。
理由は、二宮金次郎自身にあるわけではなく、たいがい政治的な理由です。

==============

この頃になると、金次郎はさらに新たな道理を発見した。
それは、困窮者を助けるつもりで金品を与えたり、無利息で金を貸してやったりすると、
その人たちが少しでも生活に余裕ができると、必ず金を返しに来て、
それに何らかのお礼なり、利息をつけるのである。
それはいくら金次郎が断っても、
「わたしのほんの気持ちですから」
といって置いていく。
金次郎の方はただ助けるつもりだったのに、相手は助かったといって、お礼をしないと承知しないのである。
(人が喜ぶと同時に、我も喜ぶ。それによって財が増えていく)
人の財の増え方というものは、こうでなくてはならぬ、と金次郎は思ったのである。
ここに報徳思想の、
(貸して喜び、借りて喜ぶ。売って喜び、買って喜ぶ)
という自他両全の理念が、この頃からすでに芽生えていたわけであった。

そして、金次郎の考えは、さらに、
(元金は利息を生むものだ。
もとは小さな金であっても、利息がつくことによって、それが元金に加えられ、大きくなっていく。
そして、それを繰り返すことによって、元金は更に大きくなっていく)
という、利息によって大きくなっていく金融システムに、育っていくのだった。



Viewing all articles
Browse latest Browse all 1745

Trending Articles