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オスマン・トルコと現在の中東

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現在アラブ人が住んでいる中東地域のほとんどは、みなオスマン・トルコの領土だった。
それが第一次世界大戦の戦後処理で、そのうち北の方はフランスの、南の方はイギリスの委任統治領になった。

フランスはキリスト教国だから、シリアのキリスト教徒の多い地帯を強引に切り取って、
レバノンという国をでっち上げ、大統領はキリスト教徒でなければならない、という憲法をつくった。
レバノンはキリスト教徒のほうが多数だ、ということになっているが、それ以後いっさい人口調査をしていない。
調査してイスラム教徒のほうが多いと困るからである。
ともかく、北の方のシリアとレバノンは、フランスが人工的に作り上げた国なのである。

それに対して、南の方は映画「アラビアのロレンス」に登場することで有名な、
メッカの守護職であったハーシム家のプリンスたちをイギリスが担ぎあげて、三つの王国をでっち上げた。
その一つが、メッカを中心とするヒジャーズ王国である。
次が、アンマンに都を置くトランス・ヨルダン王国
三つ目がバクダッドに都を置くイラク王国である。

地図を見ればわかるが、国境線が何の必然性もなく引いてある。
事実、これは地図の上に線を引いて、ここからここまでは長男に、
ここからここまでは次男に、という風にしただけのものなのである。
それがそのまま固定してしまって、トランス・ヨルダン王国は、そのまま今のヨルダン王国になった。
今のアブドゥッラー二世という王様は、ハーシム家の後裔なのである。
一方、アラビア半島のヒジャーズ王国は、のちにリヤドに中心があったサウディ家にとって代わられ、今のサウディアラビアになった。
イラクの方は、軍事クーデターがあってハーシム家の王家が倒れて共和国になる。

岡田英弘著作集Ⅰ 歴史とは何か より


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