出来事を報道し、複製するこのような新しい技術が発達した結果、
新聞記者は出来事の起こる以前に、起こりそうなイメジを描き、
報道を準備しておくという誘惑に陥った。
人間はしばしば自分の技術を必需品と勘違いするようになった。
読者や観客は、報道の自然さよりも、物語の迫真性や写真の「本当らしさ」を好むようになった。
まもなく四六時中動いているマスコミが生まれた。
今ではニュースとニュースとの間隔があまり短くなってしまったので、
新聞の各版ごと、または各放送時間ごとに新しいニュースを付け加えるためには、
すでに手元にあるニュースを、あらかじめ各段階に分けて小刻みに発表するということが必要になった。
週刊誌、日刊紙につづいて号外が発行され、また一日のうちにいくつもの版が規則的に発行されるようになった。
ーー中略ーー
新聞が、一日にいくつもの版を刷ることを正当化するためには、ニュースがつねに変わっているか、少なくとも変わっているようにみえることがますます必要になる。
ラジオは、人間が目を覚ましている間は、いつでも絶え間なく放送しているので、
記者の問題は一層深刻となった。
「幻影(イメジ)の時代 マスコミが製造する事実」 D.J.ブーアスティン より
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ニュースを「作る」ようになった経緯
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