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青年の思索のために 下村湖人

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たしか致知で紹介されていた本

昭和初期の教師により書かれた本
鍵山秀三郎さんが推薦されている本のようです。

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「林檎が片っ端から(台風に)拭き落とされるのをじっと番小屋から見つめているうちに、
しだいにそんな考えに変わっていったんです。
むろんはじめのうちは、せっかく丹精したものがむざむざと地に叩きつけれるのを見ていると、
今にも気が狂いそうでした。
しかし、同じ木になっている林檎でも、わけなくおちる林檎と、なかなかおちない林檎とがあるんです。
それに気がつくと、私ははっとしました。
そしてこう思ったんです。
台風は毎年吹く。
吹くものと覚悟しなければならない。
それは天の運行だからだ。
この天の運行を予定しないで林檎園を経営するのは、人間が勝手に天に甘えるというものだ。
では、天に甘えないようにするにはどうしたらいいのか。
それは、林檎園を完全に台風から保護するか、さもなければ、台風に襲われても吹き落とされないような丈夫な林檎を育てるよりほかはない。
そのいずれもができないとすれば、林檎が拭き落とされるのが当然で、
その林檎が、まだ十分には天意にかなっていないからだ。
天意にかなった林檎なら、必ず梢に残る。
現にどんなにひどい台風にも拭き落とされない林檎が、かならずいくつかはあるではないか」

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農夫「お前のおやじさんは、どこで死んだのかね」
漁夫「海の上だよ」
農夫「おじいさんは?」
漁夫「やっぱり海の上さ」
農夫「ふうん、お前はそれでも、今日その海の上に出て行くのか」
漁夫「そうだとも。ところで、お前のおやじさんはどこで死んだんかい」
農夫「うちの畳の上さ」
漁夫「おじいさんは?」
農夫「やっぱり畳の上さ」
漁夫「ふうん、お前はそれでも、今夜その畳の上にねるのかね」

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弱い人間の弱い気持ちから出る弱い主張ほど実は強い主張はない。
それを弱いと感ずる人は、真の政治家でも、教育家でも、芸術家でもないのである。


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すべての国民の要求を満たしてやろうと努力する政治よりも、
すべての国民によき要求を持たせようと努力する政治のほうが、
より容易にすべての国民の要求を満たすことができるものである。


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