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奴隷制度 民衆のアメリカ史より

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奴隷管理の必要から一つの巧妙な方策が生み出された。
それは、貧乏白人(南部の歴史の200年間、大変厄介な存在だった)を
黒人労働の監督として雇い、それによって彼らを黒人の憎悪の緩衝装置にする
という方策だった。
宗教が奴隷管理のために利用された。
ーー中略ーー
「安息日の朝ごとに、1時間を彼らの道徳的、宗教的教育にあてれば、
黒人の間によりよい状態をもたらすのに大きな助けになることがわかろう」
黒人説教師については、ジェノヴィーシーが述べているように
「彼らは、会衆の間に精神的高揚を保つに十分なくらい挑戦的な言葉を、
しかし彼らを勝ち目のない戦いに立ち上がらせるほど煽動的ではなく、
支配階級の怒りをかきたてるほど不穏なものでもない言葉を語らねばならなかった」
実用性が決定したのだ。
「奴隷社会は、数の上で郵政で軍事的にも強力な白人の間にはめ込まれていたので、
ひたすらに耐え、どうしようもないことは受け入れ、
黒人社会を生き生きと健康に保つよう頑強に努力するという戦術をすすめた。
それはアフリカの原型と同じく、まず第一にこの世の生活を肯定する、
生き残るための戦術だった。」

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リンカーンの演説@イリノイ州南部のチャールストン

では、次のことを申し上げておきたい。
私はどのようなやり方であっても、白人種と黒人種の社会的、政治的平等
をもたらすことに賛成ではありませんし、いまだかつて賛成したこともありません(拍手)
また黒人を有権者とか陪審員にすることにも、
黒人に官職を保有する資格を与えたり、白人と人種間結婚する資格を与えることにも
・・・賛成ではありません。
いまだかつて賛成したこともありません。
黒人はそのように生活することができないのですから、
我が国に一緒にとどまっている限り、
優越した地位と劣等な地位がなければなりませんし、
私は誰にも劣らず、白人種に割り当てられた優越した地位に立つことに賛成であります。

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リンカーンが奴隷制反対論者ホレス・グリーリとの間に1862年
ニューヨークのトリビューンに掲載された交換書簡

グリーリ
「拝啓 大統領殿。
大統領選挙戦であたなに勝利をもたらした人々の大半が・・・
南部の反乱者の奴隷たちに関してあなたが追求しつつあるように思える政策によって
ひどい失望と深い苦悩を味わわされていることは、
すでにご存知のことに違いないと思いますので、
私がでしゃばって申し上げないことにします。・・・
私どもは、わが共和国の第一の下僕として、
とりわけ重くこの義務を負わされているあなたに、法律を執行せよと要求します。
・・・私どもは、あなたが新しい没収法の奴隷解放条項に関して・・・
おかしなほどにひどく怠慢だと思っています。
私どもには、あなたが境界奴隷州出身の特定の政治家たちの・・・
諸会議から埠頭に影響を受けているように思われるのです。」

リンカーン
「拝復 ・・・私はだれであれ疑問のままの状態にほうっておくつもりはありません。
・・・この戦争での私の思考の目的は連邦を救うことにあり、
奴隷制を救ったりあるいは破壊したりすることにはありません。
もし私が、一人の奴隷も解放することなく連邦を救うことができるならば、
私はそうするでしょう。
さらに、ある奴隷を開放し他の奴隷を放置しておくことによって
連邦を救うことができるならば、私はそうするでしょう
私が奴隷制と有色人種について行動するのは、
それがこの連邦を救うのに役立つという理由からです。
また私が行動を差し控えるのは、それが連邦を救うのに役立つとは信じないという理由からです。
・・・私はここに、大統領の義務についての私見にもとづいて私の目的を述べましたが、
すべての人がどこにいようと、自由であることができたら、
という私がしばしば表明した個人的な願望を修正するつもりは毛頭ありません。
A.リンカン」

このようにリンカーンは「個人的な願望」と「大統領としての義務」を峻別した。


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