Quantcast
Channel: 読書は心の栄養
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1745

アフガニスタンのバーミヤンと日本の関係

$
0
0


アフガニスタンはバーミヤンから届いた数葉の写真に映ったバナーの文字ほど、
心打つものはなかった。
白い布に書かれた手描きの文字は、たしかにこう読み取れたのである。
We are poor but are rich in our willingness to offer assistance 
 to the people of Japan during your time of need
ブログ(Hazaristan Times)参照



貧しい彼らには、日本へ送る何ものとてない。
カネも、援助物資も。
だからせめてみんなで集まり、連帯の気持ちを言葉にしようとした。

別のバナーにはこうある。
綴りの誤りは原文のままだ。

The Youth of BAMIYAN extend our heartfelt sarrow to the citizens and victims of Japan




見ればまだ10歳になるかならぬかの子供から、20歳前後とおぼしき若者まで、
男女40人ばかりが一木一草とてない峻険な大地を、バナーを手に行進している。
彼らが選んだ言葉は、その心根の優しさ豊かさを伝え、たしかに日本へ届いた。

それにしてもいったいなぜ、と思う。
どうしてここまでしてくれるのか、と。
ーー中略ーー
いまは憶測にすぎないけれど、バーミヤンと日本をつなぐ絆とは、
石窟修復の事業だった。
タリバンが破壊した仏教の遺跡は、あまりにもこなごなにされ、元あった姿に復させるなど不可能に思われた。
けれども日本は、ユネスコ文化遺産保存日本信託基金の資金によりつつ、
国立文化財機構東京文化財研究所の専門家たちを2003年から八次にわたって
バーミヤンへ送り、仏教壁画の修復や、遺構の調査を実施した。

銃弾の跡、盗賊によって切り取られた跡もなまなましい壁画の修復を、
地元の人々を雇って作業員としながら進めた事実があった。

バーミヤンの人々が生身で接した日本人とは、このときの遺跡修復専門家たちぐらいであっただろう。
彼らが懸命に働くその後ろ姿を、あるいは瞼の奥に焼き付けてでもくれたものか。

それが筆者の憶測である。

明日を拓く現代史 谷口智彦より


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1745

Trending Articles