本のタイトルから、イギリスの近代における歴史について書かれているのかな、と思ったが少し違う。
どちらかというと社会学に近いだろうか、当時の社会がどうだったのか、について書かれており、
政治とか国の動きにはあまり触れられていない。
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17世紀の初めに、エリザベス救貧法とよばれる法律が出されます。
この時代から貧困が広がって、救貧法を出さざるをえなかったのです。
その原因は、イギリスで早期に資本主義が発達したからだと、かつては説明されてきました。
しかし、資本主義の発達と関係がないわけではないのでしょうが、
それが直接の原因ということではありません。
むしろ、いまお話ししたような家族の構造に非常に関係があったと考えられます。
ここまで
ここでいう家族の構造とは、核家族化(成人したら親元を離れ、別の家で新しい家族を構成する)のことをいっている。
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このことは戦後のロビンソンクルーソー研究ではまったく忘れられていて、無人島に行って農業をしていることだけが取り上げられるのですが、
もともと彼が始めたのは奴隷貿易です。
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中世に歴史のようなものが書かれるようになったとき、歴史を書く人の殆どは修道士でした。
修道士は当然ラテン語で書きます。
そして修道士は、キリスト生誕以後の話しか書きません。
キリスト生誕以前の話は、すでに聖書に書かれているからです。
聖書と違うことはかけませんから、聖書以前のことは書きません。
ーー中略ーー
(主権国家が成立する17世紀頃から)キリスト以前のことがタブー視されなくなり、
聖書以前にも言及するようになりました。
その場合、聖書以前の年をどのように数えるかが問題になってきます。
政治算術書は、世界年という年号を作り、聖書の天地創造を元年として、
その年、つまり世界年元年の世界人口はアダムとイヴの二人というところから始まります。
しかし、聖書を読んでいくと、途中でノアの大洪水がありますので、このことを計算に入れる必要があります。
ノアの大洪水は世界年でいうと、何千年かになるのだと思いますが、
そのときに世界人口は八人に逆戻りする。
そうすると、ノアの大洪水元年というものも考えられるし、そこから暦を書き始めるものもある。
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イギリスの刑罰の形を見ると、他のヨーロッパの国とまったく違います。
一番違うのは投獄、つまり、刑務所に入れておくという方法がほとんどないということです。
刑務所に入れておく代わりに、アメリカ植民地に行かせるのです。
屈強な犯罪者であればあるほど、アメリカに行けば、貴重な労働力として売れます。
孤児、あるいは親が貧しくて育てられない子供も、そういうかたちでアメリカに流されていきます。
アメリカ独立後は、オーストラリアが流刑植民地として成立します。
南アフリカにも、イギリスの孤児院、その他の施設から送られている人たちがたくさんいます。
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