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海の都の物語 塩野七生

ローマ帝国崩壊後に生まれたヴェネチア共和国の歴史

第1巻は第4次十字軍の遠征まで

エジプトのアレクサンドリアにあった、聖マルコの遺骨が危機に瀕したことがあったという。
西ローマ帝国が崩壊してしばらくするとイスラム教の信仰が中東で盛んになり、
エジプトでもイスラム教徒を信仰するアラブ人が多く、
ぶっそうになってきた。
そこに通りかかったヴェネチア商人二人がその遺骨を購入し、ヴェネチアに持ち帰ったという。
最初はこの商人は危ないからヴェネチアに移してあげよう、という提案で無料だったが、
僧は頷かなかったので金を出したようです。

それ以降、ヴェネチアの守護聖人に聖マルコがなったという。

知らなかったが第四次十字軍の遠征は本来の目的とは異なり、コンスタンティノープルを攻めている。
本来の十字軍は異教徒を滅ぼし、聖地エルサレルムを回復する目的だと思っていたのだが・・・
フランスの十字軍がヴェネチアにエルサレルムまで行く船賃などを払えず、
そこから他人の頼みを聞いてお金を借りたりもらおうとするために、
味方のキリスト教の町であり、東ローマ帝国最大の都市、そしてヨーロッパ最大の都市、
かつギリシア正教の本拠であるコンスタンティノープル(現イスタンブール)を攻めることになってしまう。

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「現実主義者は、それが個人であっても国家であっても、なぜ常に憎まれてきたのだろう」

ーー中略ーー

現実主義者が憎まれるのは、彼らが口に出して言わなくても、
彼ら自身そのように行動することによって、理想主義が、実際は実に滑稽な存在であり、
この人々の考え行うことが、この人々の理想を実現するには、最も不適当である
という事実を白日の下にさらしてしまうからなのです。

理想主義者と認じている人々は、自らの方法上の誤りを悟るほどは賢くはないけれど、
彼ら自身が滑稽な存在にされたことや、
彼らの最善とした方法が少しも予想した効果を生まなかったことを感じないほどは愚かでないので、
それをした現実主義者を憎むようになるのです。
だから、現実主義者が憎まれるのは、宿命とでもいうしかありません。
理想主義者は、しばしば、味方の現実主義者よりも、敵の理想主義者を愛するものです」

海の都の物語〈1〉―ヴェネツィア共和国の一千年 (新潮文庫)/新潮社
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