ここ
今月号の特集は「願いに生きる」
今回とてもよかった記事は、トップ記事で表紙にもなっている片岡一則さん
この方は東大の教授で、ナノマシンというのを開発した方
医療で使われるこのナノマシン
パッと聞いた印象だと極小のロボットを思うかもしれませんが、これは特殊な化学化合物
サイズとしては50ナノメートル(髪の毛一本の太さの1000分の1)
ウイルスと同レベルのサイズ
たとえば、がん細胞まで動いていき、がん細胞だけに集中的に薬を働かせたりする
片岡
そもそも人間の体はウイルスのような粒子が血管内に入ると免疫細胞が異物と感知して捕まえるんですね。
そこで、レーダーに見つからないステルス戦闘機のように、ナノマシンの表面を水になじみやすい高分子で覆って、血中を自由に回れるようにしました。
これが第一ステップです。
では、どうやってがん細胞までナノマシンを運ぶのか。
そのポイントは、正常な血管とがんの血管では構造が異なるということです。
正常な血管は内皮細胞と基底膜できちんとバリアが張られているので、
ウイルスやナノマシンは通れません。
ところが、多くの抗がん剤はウイルスよりも小さいため、バリアをすり抜けて正常な細胞をも攻撃してしまう。
ーそれがいわゆる副作用ですね
片岡
はい。一方、がんの血管は隙間が大きい。
そのため、正常な血管なら通れないナノマシンでもがんの血管を通って、がんの組織の中に入っていくことができるんです。
正常な細胞を傷つけることはありません。
つぎに、どうやってがん細胞の中心まで行くのか。
ナノマシンはウイルスと同じサイズですから、がん細胞の膜をそのまますり抜けることはできないんですね。
そうすると、がん細胞は「どうも変なやつが来た」と感知する。
で、何をするかというと、自分の細胞膜を内側にへこませて、ナノマシンのような粒子を包み込んでしまう。
そして胃のように酸性の消化酵素を排出し、溶かそうとするんです。
私はこれ逆手にとりましてね。
pHが下がると高分子ミセルの構造が壊れて、薬がワーッと出てくるように仕掛けました。
まさしくギリシャ神話に出てくる「トロイの木馬」です。
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致知 2016年3月号
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