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フードファディズム メディアに惑わされない食生活 高橋久仁子

この本はとても面白かった。

フードファディズム=食べ物や栄養が健康や病気に与える影響を誇大に信奉すること

 

これだけ科学大国となっても、私たちは食べ物を食べるときに、

消化、化学的作用で栄養を体内にとりこむ

というよりは、食べ物を体内に摂取する、言ってみれば食べ物そのものを体内に取り込むかのような幻想を持っているように思う

だから、コラーゲンを口から入れてそのまま体内にコラーゲンとして入ると勘違いしている。

 

独立行政法人国立健康・栄養研究所のサイト
健康食品を利用する前に安全か、効くかどうか確認するといいそうです
大概は効かないか、誇大表示なので、そちらは気持ちの問題だが、
安全かどうかは見た方がよいと思う。

 

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ビタミンは野菜・果物から、と思われがちであるが、

動物性食品の方が摂りやすいビタミンもある。

動物性食品を全く摂取しない菜食主義の人ではよほど注意しないと

ビタミンB12,ビタミンDなどが不足し、骨密度の低さや神経障害が問題となることがある。

厳格な菜食主義を続ける母親から生まれ、授乳されている乳幼児に、

ビタミンD不足によるクル病やビタミンB12不足による知的発達遅延が報告されている。

 

また、緑黄色野菜を食べていれば鉄やカルシウムは摂取できるが、吸収性の点で動物性食品に劣ることが心配されている。

 

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かつて、野菜や果物をたくさん食べる人は、ある種のがんや心臓疾患になりにくいという疫学データが多数発表された。

どの成分が有効なのかを検討した結果、βカロテンが有力候補に挙げられた。

 

喫煙者がβカロテンをたくさん摂取すれば肺がんが減るのではないか、との仮説のもと、

大規模な介入研究がフィンランドで実施された。

中間結果をまとめたところ、βカロテンを摂取していたグループでは肺がん罹患者が増えてしまった、というものであった。

ーー中略ーー

これは野菜や果物をたくさん食べることと、その中の特定の成分だけを大量に摂取することは違うのだ、ということを端的に物語る例である。

 

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「健康食品」を上手に利用しましょう、という宣伝広告や専門家のアドバイスを見かけるが、

自分自身の食生活の状況や健康状態を的確に判断できなければ、上手な利用はあり得ない。

何がちょうどよく、何が過剰で、何が不足しているのか、をきちんと評価できないまま、

ただなんとなく「これを飲むといいかな」では、上手に利用したことにはならない。

 

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テレビを見る時間が長い成人はメタボリック症候群になりやすい

というオーストラリアでの研究を見つけた。

ーー中略ーー

テレビの長時間視聴によって、糖尿病になりやすくなるという論文もあった。

 

テレビを見る時間が長い人は体の動きが少なく、

結果として代謝異常を招きやすいということであったが、

こういう研究は健康情報娯楽テレビ番組ではまず紹介しない。

メタボリック症候群の予防に食生活はもちろん大事であるが、テレビの見過ぎもよろしくないとテレビも伝えるべきである。

健康に関心があるからこそ健康情報娯楽テレビ番組を見るのであろうが、

この種の番組はテレビを見る時間が長くなることに伴う弊害について話題にすることはまずない、と承知しておくべきである。

 

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ウソが書かれている広告はそれを指摘し正すことを要求できる。

しかし、行間を読ませ、誤解・錯覚を誘導するキャッチコピーは批判しようがない

「コンプライアンスの徹底」を掲げる食品企業がこの種の広告を行っていることもある。

「法律に違反していない」とはいえ、「コンプライアンス」をどう考えているのか疑問に感じる。

フードファディズムを利用し、「消費者が誤解・錯覚しているだけ。当社は法律に触れるような違法広告はしていません」との主張が道義的に許されるのであろうか。

 

 



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