著者は私の記憶が正しければ櫻井よしこさんの大学時代の師だったか?
この本は明治初期について新しい視点を提供してくれて面白かった。
私たちは学校教育で自由民権運動が憲法や国会開設に大きな影響を与えたということを習うが、
この本ではこの運動自体は大して影響はないし、運動主体である板垣退助らも影響はないと思っていたようだ。
逆にこれらは伊藤博文ら政権中枢が最初から強く推進していたものである、と書かれている。
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政治家と知識人のこの長い間の反目は、明治の政治史を研究する欧米の学者にとって重要な意味を持っている。
明治30年代以来の日本には、欧米の多くの国々に見られないような深い断層が政治家と知識人の間に見られる。
日本の知識階級は政府や政治を評価する際、欧米の理想と規範の上に立って日本の現実を見ていた。
当然彼らの判断は、現実を無視した悲観的な批判になりがちであった。
明治の政治史を研究した欧米の草分け的研究者の多くは、日本の知識階級によってなされたこのような批判を元にして、その解釈を引き出しているので、往々にしてこの悲観的な判断を反映しがちであった。
ここまで
昔から全く変わってない、ということがよくわかる。
つまり、50年後の日本も現代の日本について悲観的な批判に終始する恐れが強い。
上の事実を国民が知っていくということが重要だろう。
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