この本は、日本が第二次世界大戦に突入し、(おそらく)敗戦に至るまでの歴史小説
第1巻は日本が参戦を決意するまでを描いている。
2・26事件から始まっている。
西洋人からの視点であり、とても面白い内容だ。
日本が戦争を回避していたことがわかるのと同時に、開戦前に暗号がすでに破られていたこと、
そしてアメリカ側も翻訳などが間違っていたのか、解読された文章を誤解していたことから日本に対する疑心が膨らんでいることがわかる。
ただ、南京大虐殺など間違った箇所もあるのでそこは考慮する必要がある。
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黒白の区別をはっきりつけて考えを述べる西洋人とは違い、
日本人はそれほど区別をはっきりさせない。
だから国際関係においても、「政策」はたてるが「原則」をつくらない。
これが西洋人には、道徳観念の欠如と思えたのである。
西洋の論理はちょうどスーツケースのようなもので、その大きさを変えることは出来ず、
収める量も限られる。
しかし、東洋の論理は風呂敷のように、場合に応じて大きくも出来れば小さくも出来、
また必要がなくなればポケットにしまい込むこともできるのである。
西洋人から見て、日本人はとらえどころのない矛盾した存在であった。
優雅と残忍、正直と狡猾、勇敢と怯懦、勤勉と怠惰、これらが同居しているのである。
日本人にとってこうしたことはまったくあたりまえのことで、全体を結びつけて一つのものと看做しており、
なぜ西洋人がこのようなことを理解できないのかわからなかった。
日本人にとっては矛盾を持たないものは尊敬に値せず、あまりにも単純な人間であった。
一人の人間のなかで相矛盾するものが多ければ多いほど、彼は奥行きの深い人間と評される。
自分自身の内的相剋が激しければ激しいほど、その人はないよう豊かな人物なのである。
この思想は主として仏教から来ている。
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