著者は元朝日新聞社の記者であったが、
2014年8月の朝日新聞の従軍慰安婦絡みの記事を見て、当時記事を書いていた「AERA」も辞め、本書を出版している。
従軍慰安婦絡みか、と思って借りてきたのだが、たしかに3分の1ぐらいはそのことが書いてあるものの、
それよりも戦前から続く朝日新聞の体質を描いていて、そこが面白い。
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1995年3月、役員を退いて朝日新聞社顧問に佐伯が退くとき、その送別の立食パーティーの場で佐伯はこう挨拶した。
「社会主義陣営に対するロイヤリティー(忠誠心)がなくても編集担当を務められる時代となり、幸いだった」
共産主義ソ連の消滅など直近の世界史激変をふまえた発言だったが、とたんにパーティーの会場はしらけてしまったという。
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読売新聞争議について元朝日新聞社長広岡知男と、ノンフィクション・ライター小林の問答
広岡
このストは、読売の組合委員長兼編集局長となって組合管理の新聞を作っていた
鈴木東民らのグループが、社を追われて(解雇されて)孤立しているのを救うというのが大義名分だった。
しかし、指導していた共産党・産別(全日本産業別労働組合会議)ラインの真の狙いは、
それをタテマエに新聞ストを打ち、国民に一切の情報が入らないように目隠しした上で、
電力、鉄道、炭鉱といった基幹産業を次々にストに入らせ、事実上の大ゼネスト状態を起こす。
つまり、人民政府樹立のための混乱を作り出そうとしたものなんです。
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この本で初めて二・二六事件で朝日新聞社も襲撃されていたことを知った。
皇道派は反ソ連で満州経営を重視し、統制派は反英米で天皇制社会主義をめざし、
支那大陸経略を視野に入れていたという違いもあった。
その際にやたらと天皇絶対論を唱え、「国体明徴」をふりかざす皇道派を朝日新聞社側が嫌い、それに対抗する統制派を支持する紙面を、一時期にせよ意図的に作っていたことを朝日新聞社史は認めている。
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