原敬といえば、学校で習った「平民宰相」「米騒動」ぐらいしかわからなかった。
この上巻を読むだけで原へのイメージがかなり変わるとともに、明治時代の後半のイメージも変わってくる。
原敬は、元々は東北の名門武家の育ちだった。
ただ、戊辰戦争を経て南部藩(岩手)は逆賊扱いされたのと、家自体が没落したこともあって、
彼は「平民」となったのだろうか。
原は幼少時からとにかく優秀であったようだ。
フランス語が特にすぐれていたようです。
最初原は元老の一人、井上馨に気に入られていたのだが、
陸奥宗光(日清戦争時の外務大臣)が農商相だったときにその下で働いてからは彼についていく。
陸奥が職を辞すと原も官僚を辞める、といった具合。
陸奥が外務大臣になると、彼も外務省に勤めるようになり、
一般の官僚とは違う、いわゆる外交官試験を作ったのも原である。
原は根っからの官僚・政治の道を生きたわけではない。
日清戦争後に陸奥宗光が死ぬと、原は大阪毎日新聞(今の毎日新聞)の経営を行うようになる。
それとともに、これからの日本では議会政治に移行していく必要がある、という考えを持っており、かといって現政党(自由党とか)に任せてはおけない。
そのため、現在の中枢にいる伊藤博文などを軸にした新たな政党を作り(立憲政友会)、
議会政治に移行していこう、という考えを持っていた。
伊藤博文が立憲政友会設立後に組閣した内閣で通信大臣を務め、ここから政治家原敬が始まっていく。
上巻はこのあたりまで
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