この本は内務省という観点から戦前の日本の歴史を見ている本
私は内務省の役割について知りたかったこともあって借りてきたのだが、少し私の期待とは異なった。
が、とてもいい本だと思う。
ただ、600pを超え、大判で字がぎっしりなので気をつけてください。
この本を通じて私が知ったのは、
・内務省と大蔵省(現財務省)は初期は合併したり分離していたりしていたこと
・大久保利通死後は元老の中で伊藤博文と山県有朋が別格の立場だったが、
次第に山県有朋が頭角を現し、伊藤博文は統監府など外に追いやられていく。
伊藤博文は政党内閣に持って行くように尽力したが、山県は国会が大嫌いだったようだ。
そして、山県は自分の身内で内務省や軍部を固めていっている。
この本を読んでいて彼こそが軍閥の元凶なのでは、と思ってしまった。
彼は軍部大臣現役武官制も制定し、後の混乱を作った当人でもあるし、功罪でいうと罪の方が大きいように思える。
・桂園内閣のうち、桂太郎は山県派であり、園の西園寺公望は政友会、つまり政党内閣を支持していた。当時は山県有朋全盛であるが、それでも西園寺公望が首相になれたのは、
抜群に優秀だった原敬(後の首相)が西園寺の懐刀として山県などへの根回しをした結果だったという。
原敬への評価が一気に変わったので、今度本を読んでみたい。
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