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量子コンピュータが人工知能を加速する 西森秀稔 大関真之

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量子コンピューターというのはまだまだ先のことだと思っていたが、
すでに一部実用化されていることにびっくりした。
 
数年前、カナダのD-Waveという会社が量子コンピューターを開発した、という記事が出ていたが、記事の紹介者も含めてその開発の事実にかなり懐疑的だった。
が、それは真実だった。
もともと言われていた量子コンピューターが開発されると、現在の暗号ロジックは一瞬で解読されるのだが、
今回開発された量子コンピューターにはそのようなことはできない。
量子アニーリング方式というようで、
とくに巡回セールスマン問題などの最適解を求めるものに適しているという。
現実の問題でいうと、
宅配便の配達経路を最短にしたい、というのは企業として誰しも考える。
しかし、厳密にその経路を計算するのは非常に難しい。
最新のスーパーコンピューターでも、25ほどの家を回る配達経路となると数十年かかるというわけだが、
この量子アニーリング式のコンピュータはNASAやGoogle曰く一億倍速いらしい。
 
量子力学上の1でも0でもありうる、という状態を利用している。
針が地面に立っていて、そこに微妙なバランスで十円を乗っける
ふらふらしているが、とりあえず自分から見て右か左のどちらに倒れるかわからない状態。
こうした針と十円玉がいくつもあって、その十円玉同士の関係性を十円玉にプログラムしていく。
十円玉Aは十円玉Bに惹かれがちだが、十円玉Cにはもっと惹かれる
十円玉Bは十円玉Aが嫌いで、十円玉Dに惹かれている
といった具合の関係性をセットする。
セットし終わった後、しばらく待つと、その惹かれ具合に応じて、十円玉が倒れ、それぞれの十円玉が右左どちらに倒れるかがすぐにわかる
こんな具合のコンピュータになっているという。
現在のコンピュータはロジックをすべて網羅して一つ一つ試す必要があるため、膨大な時間がかかるが、
この量子コンピュータは物理法則を利用して瞬時にその答えを求めようとしているところに違いがある。
 
この分野の課題は、この量子アニーリングを世に知らしめたのが著者の一人西森さんであるにも関わらず、日本でほとんど知られておらず、産業としても世に出ていない(と思われる)こと
日本もアメリカに負けずにこの分野に挑戦してほしい
 
 

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