「一般的な物乞い」は、軽度の障害者が一日中路上で物乞いをしているようなケースです。
一日に二百五十円の収入だとしたら一ヶ月で七千五百円ですから、
スラムにバラックを借りて、子供を二、三人育てることはできますね。
ーー中略ーー
「稼げる物乞い」の場合は、一日千円として一ヶ月に三万円です。
これだとアパートを借りて家族や親族を養ってあげることができます。
裕福とまでは行きませんが、普通の暮らしができる程度です。
子供を学校へ行かせたり、父や母までちゃんと養ってあげたりすることもできます。
こうしてみると、「一般的な物乞い」と「稼げる物乞い」の場合は、
大黒柱となって家族を支えているといえるでしょう。
肉親は彼のことを尊敬しますし、障害があっても結婚の話はひっきりなしに来ます。
よく日本人の旅行者が途上国の物乞いを見て
「あいつら偉そうだな」
なんて言ってますが、少なくとも親に食わせてもらっている日本の学生なんかよりは
リアルにずっと「偉い」のです。
「絶対貧困」 石井光太より
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物乞いは偉い
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