「逮捕されたら病院代はタダ、身体の不具合は日本の先進医学で完治して帰ろう」
これは「日本の警察は優しいから大丈夫」という話とともに、半ば合言葉になっている。
だから中国人被疑者は逮捕された途端、あっちが痛い、こっちが変だと始まるのである。
ーー中略ーー
都内の留置場にはたくさんの中国人が入っていて、暇つぶしのためやたらと手紙を書く。
それを受け取った中国の実家からも返事が来るが、警察では封を本人に切らせて、
その内容に犯罪が絡む記述がないかを点検することが許されている。
あるとき私が点検した手紙も、そうした中国の実家に住む弟からだった。
それは留置場内にいる偽装結婚女性に送られてきたものだった。
「お姉さん、ニイハオ。
日本の警察はとても優しいですから大丈夫。
中国の警察みたいに、殴ったりしませんから安心してください。
ダンナさんはまだ死なないのですか。
早く日本人になって、僕を日本に呼んでください」
とあって、さらにこう書いてあった。
「身体の不調があれば、なんでも言ったほうがいいよ。
タダで病院にいけるから。僕は歯を治しました。」
彼らは日本の「優しさ」を見抜いているのである。
通訳捜査官 中国人犯罪者との闘い2920日 坂東忠信より
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健康で楽しい留置場生活
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