![]() 【送料無料】世界は貧困を食いものにしている [ ヒュー・シンクレア ] |
マイクロファイナンスの批判本を借りてきました
が、この本のタイトルはかなりおかしい
実際この本を読めばわかるが、マイクロファイナンス自体を否定しているわけではない。
原題を和訳すれば、
「マイクロファイナンスの異端児による告白」
「マイクロファイナンスはいかにして道を誤り、貧困者を裏切ったのか」
というものだ。
おそらく、訳者か、出版社の編集者がかなりの左翼なんでしょうね
実際のところ、著者はマイクロファイナンス自体は素晴らしい物であると認めている。
だが、問題はこの金融が途上国で行われていて、
途上国は先進国と比べて金融規制がないに等しいことだ
ここにバブルが生じるポイントがあり、
儲かること>貧困者を助ける
という図式が出来上がっている。
よくこの本を持ち上げて、マイクロファイナンス=悪とか、資本家=悪
とか言ってる人がいるが、本を読んだことがないのだろう、と思った。
内容は彼の体験談で、すこぶる面白い。
この本がマイクロファイナンス批判本だというのならば、
マイクロファイナンス自体に対する私の考えは変わらずポジティブです。
問題があるとすれば、国と、運用する人間の問題であって、
ビジネス自体に問題は感じられない
本を読む限りにおいては、モンゴルにおいてはマイクロファイナンスは比較的うまくいっていて、
アフリカにおいては壊滅的に見える。
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私は当面の問題が二つあることに気づいた。
利率がべらぼうに高いように思えることと、
顧客の多くは何かに投資するわけではなく、ただテレビを買ったり、請求書の支払いをしたり、
別のローンを返済するために、お金を借りていることだ。
よく言われるミシンや乳牛など、具体的な事業を構成する生産的資産は心配になるくらい乏しい。
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ファンド設立の第一段階は、基本理念をでっち上げることだ。
大半のファンドが同じMFIに投資することを考えると、ファンド間に大きな違いはないが、
各ファンドは微妙にちがう主張をする。
たとえば、トリプルジャンプの現在の基本理念はこうだ。
トリプルジャンプの基本理念は、
零細な事業への投資を促すことによって、
新興の市場経済の持続可能な発展に貢献することである。
トリプルジャンプは資本と顧問サービスを提供することによって、
存続可能なマイクロファイナンス機関の発展を、成長の三段階(新生、拡大、成熟)
全てにおいてサポートすることを目指す。
私達の目標は、起業家精神を生かすことによって、新興市場に効果的な社会的影響を与えるべく努力することである。
私達は以下のことに専心するMFIに重点を置く。
(1)社会の貧困を削減する
(2)女性をはじめとする低所得で弱いグループに手を差し伸べる
(3)社会と環境を尊重する
(4)最大の効率、財政的持続性と支援活動を実現する
これはかなりありきたりだ。
篤志家や投資家の好むキーワードがすべて盛り込まれている。
女性、貧困削減、持続可能性、社会的影響、起業家精神。
環境は最近までほとんど無視されていたが、これも流行語になってからさりげなく加えられた。
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マイクロファイナンス・プログラムのトップには、FINCAインターナショナル(最大級のマイクロファイナンス機関)の創設者であるジョン・ハッチが公言したことを、
個人的には認めている人が大勢いる。
マイクロローンの90%は、起業を促すためではなく、日常的な消費の資金として使われているのだ。
MITの貧困アクションラボのアビジット・バナジーとエスター・デュフロは最近、
貧困者の経済生活に関する綿密な研究をいくつも検証して、
国や大陸に関係なく、追加の可処分所得1ドルは、
何らかのかたちの投資はおろか、衣食住にさえほとんど使われていない
ことを明らかにした。