英国の初代駐日公使が日本に滞在した3年間の見聞録
よく当時の外国人から見た日本を紹介する時に参照される本です。
上中下三分冊です。
この本には様々な挿絵が入っていて、当時を想うにはいいです。
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日米和親条約の金銀交換比率が外国にとって不利だったこと、オールコックが持っていた日本の貨幣が偽の鋳造で半分の価値しかなかったことから、
オールコックは自分の渡した貨幣が自分の希望よりずっと下の価値しかないことを告げられる。
事情がつかめなかったオールコックは次の言葉を吐く
「おや、どういうわけかな。六分というから六分やったのに、こんどは12分欲しがるとは。
この欲張りのユダヤ人め」
欧米人にとってユダヤ人がある種の差別対象であったことがわかる言葉です。
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事実、土地というものは、人間の心と同じように、全面的に休んでいるとか、
非生産的だということはありえない
第一、怠けさせておくと、必ずといってよいほど好ましからざる種類の実をみのらせ、
放置しておいたならば、雑草をいっぱいはびこらせる。
日本人が土地を決して全面的に休ませたり、遊ばせたりしないところを見ると、
彼らは正しい原則を採用しているように思われる。
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鉄道と蒸気交通機関に関しては、ひとつの事実を念頭に置いておく必要が有る。
条約に基づいて諸港が開港された二、三ヶ月後に、ある立派な汽船の代理店が、
一航海あたり300トンずつ日本の石炭を提供してくれれば、
江戸と長崎と上海のあいだを往復して貨物や金銀、それに政府の要請があれば報告書類などを運ぶ毎月一回の航海を持続するというかなり気の大きな申し入れをした。
ところが日本政府は、このように定期的かつ迅速な交通は彼ら自身の港にとっても中国の港にとっても有利だということを全く考えなおそうとはせず、ただちにその申し入れを拒絶した。
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かれらのすべての道徳生活・風習・習慣のきわめて意外かつ奇怪な流儀に現れている。
その説明は哲学者に任せよう。私は事実を述べているだけだ。
年をとった者が凧揚げをして、子どもたちがそれを眺めている。
大工は鉋を自分の手元へ引いて使う。
仕立屋は自分お手元から縫ってゆく
馬に乗る時には右側から乗る。
ーー中略ーー
婦人は歯を白く保つどころか真っ黒にしている。
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「外国人がみる日本人の「本来の」国民性」も参照ください